読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『陸軍中野学校 [VHS]』

当たり前だけど、目張り、つけまつげありの『眠狂四郎』のときとは打って変わった顔が見られる現代劇。説明しすぎず、かといって不親切じゃない、かつスタイリッシュな流れは、哀しいスパイの物語に最適です。ただうら寂しいだけじゃなくて、ところどころ共感できる人間くさいところがあるのがアクセントになって、ますます哀しいんだけど。

淡々とすすむ物語のいちおうのクライマックスは、主人公が、いつのまにか敵のスパイになっていた婚約者を毒殺し、その死を確かめるところ。静かで、冷たく、美しいのです。

ところで、主人公がカナダ帰りの共産党員の抜け目ない仕立屋に化けているときの微笑みに、なんだか見覚えが… と思ったら、おばさまファンが将棋倒しにノックアウトされるというペさんのそれにそっくりでした。