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『パッチギ ! プレミアム・エディション [DVD]』

パッチギ!去年のはじめから、おもしろい! と感じる新作映画は『イノセンス』『下妻物語』『LOVERS』『笑の大学』『カンフーハッスル』ほか、どれも、やりすぎ感があるものばかりだけど、『パッチギ ! プレミアム・エディション [DVD]*1もそうでした。でもそのやりすぎはどれも、映画の展開や興を削ぐようなやりすぎじゃなく、このやりすぎがこの作品を映画にしてる、タランティーノ映画のやりすぎ感にもあるような、重大要素。

で、この映画のその重要なやりすぎ部分であるケンカのシーンは、さすがケンカ映画だらけの井筒監督のキャリアの成果。ほんと冒頭のシーンもクライマックスのシーンも、タランティーノに見せてあげたい!

さいきんトシのせいか涙もろいので、モチーフ的に『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 』のときのように泣いてしまうにちがいない、とタオルハンカチを持っていったのに、そんなヒマなく、映画監督の目論見どおりであろう、緊張と弛緩、そして興奮のワルツに踊らされました。

それぞれがそれぞれの場所に、それぞれのすべきことを抱えて走るクライマックスは、『下妻物語』のウィンナーワルツの流れるクライマックスに並べたい興奮。『下妻』がおとぎ話99%に現実を1%落とすことで成立しているのに対して、『パッチギ!』は現実90%に夢を10%mixすることでできあがっているという違いはあるけどね。

泣くヒマがなかった原因のひとつは、このやりすぎ感が原因だけど、もう一つは過去の映画なのに懐古してないところ。思い入れでべたべたしてないのです。もちろん、わたしが「日本人」で、そしてたぶん、主人公よりはほんの少しだけ、「在日」の意味するところを知っているだけに、葬儀の場面で悲しみを共有することができず、いたたまれなくなるという緊張を、スクリーンを超えて主人公と共有することになる場面も関係しているわけだけど。

でもそんな緊張をうち破るのはやっぱり美少女と音楽。興奮と緊張、そしてまた興奮のあとの弛緩、そしてまた小さな興奮、それから大中小さまざまな笑い、笑い、笑いでエンドロールへ。

それにしても、沢尻エリカ、かわいい。江口寿史の描く美少女そっくりで。エリカっていう芸名は、わざとなの?*2 と思うくらい!