読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

   「跡」展

会場*1で物販を見てたら、ガビンさんに発見され、そろそろSNSで声をかけてもいいかしら、と心のなかでもじもじ。もじもじといえば、そこここに澁澤系の残滓や、「中沢先生の田植えは結局行ったの?」なんていう会話が漏れ聞こえ、ああ、自分は自分の通って来た道からは逃れられないんだなあ、などと、そのたびこころのどこかがもじもじしながら感慨しきり。


さて、実はわたし、怖すぎて本展示*2は見ていませんでした。なぜかというと、わたしは閉所恐怖症なのです。ある意味で、ア ヤ   ズ*3さんが出て空っぽになった箱に出入り自由、本人は会場を動き回り、という種明かしのされたような今日になって、やっと見ることができたと言っても過言ではないくらい。
そんなわけで、おそらくほとんどの方が本展示との答え合わせの多幸感にあるなか、宿題のドリルを答えから見ていくようなもじもじ感は、その自分の意気地のなさからの答えでした。
それでも、お酒で顔を赤くして、なんだか幸せそうなア ヤ   ズ*4さんを見かけるだけで、ものすごく、ほっとした。本展示も見てたら、ありがたくて泣きそうになったかも。



ア ヤ   ズさんの入っていた箱があるのと別の部屋は、壁面下部に空いた穴に首を突っ込むと、他の穴から首を突っ込んでいる人と目が合ったり合わなかったりする部屋。
澁澤チックなオブジェの展示もあり、「  」が消えた気象図が映し出される中でのオ トモ シヒ *5さんたちの演奏映像が流れ、『デビルマン』プチ漫画コーナーがあり。



そして、行きがけに見たヒルズのとんがりくん。暗いなか、遠くから見ると、ボーダナートの大仏塔っぽく、仏教的に見えます。こんなに近くでこんなにもベクトルの異なる「現代美術」が存在している不思議を思いながら、お蕎麦を食べて帰りました。



追記:
その1・オ トモ シヒ さんたちの演奏映像からは、なにか、百鬼夜行を実現させてしまいそうな鬼気が、催眠状態のように見える観客と、「  」が消えた気象図の映し出されるア ヤ   ズさんの箱、そして演奏者の三角形のなかからこぼれだしそうな気配が濃厚に漂っているように感じられましたが、よく考えたらこの図式、神道陰陽道で人や鬼を神に転化させる儀式と相似形なのでした。そりゃ、鬼気も漂うってものです。

その2・一定期間(今回は24日間)、通常、現代人が生活している場合に意識さえしていない欲の発揮を放棄し、箱のなかに居たひとが出てくる、というのは、ありがたい、という感情を想起させるものだなあ、と、そこからまた、天の岩戸や断食行を想起させられました。