読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

浅田彰なら

このエントリのカテゴリは、乙女じゃなくて読闘なんだろうけど。でも、この場で感じた情動は、読闘としては分析しがたい。

ギエムがボレロを踊り終わったとき、わたしは興奮で目が潤んでいた。感動というようなきれいに分類できる感情じゃなく、もっと動物的ななにかに衝き動かされての、涙。気づいたら膝の上のコートを、無様にずり落ちそうに抱えながらのカーテンコール。

それも、7回? 8回? もとだったかもしれない。ギエムがひとりでひらりと幕の隙間から出てきては、紅い髪をひるがえして引っ込み、また全員で並んで幕が上がりの繰り返し。ときおり、手を叩いていることさえ失念するほどの昂揚。客電が完全について、手ばかりか腕も拍手のしすぎで熱くなっている。

そういう感情の渦を、読闘で分析することは、やっぱりできない。だからやっぱり、何者かに区分される前の混沌に属する乙女カテゴリで。