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拘束のドローイング9

『THE有頂天ホテル』『変態村』と、続けざまにチケット代を無駄にしているので、今年のわたしは映画運が悪いのか? と怯えましたが、そういえばひなまつりの日には『拘束のドローイング9』で、全身、官能で波立ったのでした。以下、感想。


音と映像が完全に絡み合った、マシュー・バーニーのアート映像『拘束のドローイング9』の最終日・最終回を見た。

捕鯨と日本文化と世界各国の変身系の神話が混淆し、そこにテクノ・ミュージックとビョークの歌声が刻み込まれ、染み込んでいる、好き嫌いのはっきり分かれそうな作品。魅入られてしまうと、ただもう、スクリーンから一秒も目を離したくなくなる作品であることは確か。

小川未明の『赤いろうそくと人魚』や、人魚の肉を食べて不老不死になる八百比丘尼の伝説、または自身も人魚になる高橋留美子の「人魚」シリーズを思わせる部分もある。

アンデルセンの『人魚姫』の海の宮殿に、茶室があったら、あるいは浦島太郎が訪れた竜宮城での茶事は、こんなふうではなかろうかと、うっとりさせられるお道具で供される、茶婚式のシーンとは対照的に、かなり残虐なイメージの続く場面もあるが、それが最後のカタルシスへの必需品だというのは、ほんとに全部見終わらないとわからない。

DVD、欲しいなあ。サントラは出ているんだけどね。あの画面と一緒じゃないと、あの快感は再現不能だからなあ。

拘束のドローイング9 サウンドトラック

拘束のドローイング9 サウンドトラック