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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『クーロンズ・ゲート』発売から10年

クーロンズ・ゲート
最初に夢中になったデジタル・ゲームがなんだったかは覚えていないのに、10年と数ヶ月前に発売されたこれはいまだに忘れがたい。ていうか最近もPS2でやって(もらって後ろから見て)ました。わたしが持っているのは紙製の特製ボックスに108ページのハードカバーブックレットが付いたチャイニーズ・ゴシックなデザインも麗しい初回限定版。カルト的な人気のため、中古市場ではえらい安かったり、中途半端に高値だったりします。

風水を基調としたチャイニーズ・ゴシック+サイバーパンクなデザイン、妄想のとりこになり妄想対象の物と一体化してしまう「妄人」、ネット通信端末のホットスポット的な設定などなど、ドッグイヤーのゲーム業界にあって、いまプレイしてもまったく魅力の衰えない凄ゲー。音楽は黒沢清作品や、「世にも奇妙な物語」など多くの作品を手がける序鞄⊥M明です。

開発当初、「これはプレステを代表する作品になる!」と言われていたのですが、画像、世界観、音楽、わかりやすいカタルシスを避けているとしか思えないゲーム展開…。これらすべてが異形(≒偉業)すぎてそういう範疇を完全に飛びぬけている傑作です。



しかし、納期遅れと当初予算より逸脱した開発費などなどにより、チームは退社、独立。ほどなく別の当時最大手のソフト会社に移籍するも、作成したゲームが、「主人公が多重人格者で、主人公の人格が暴走や崩壊を引き起こすとゲームオーバーになる」という異色作。

こちらも傑作ではあるらしいのですが、宣伝のしづらさか、プロモーションが不振となり、売上げも…。その広報不足の不遇さから、あらぬ噂も流れたほど(そういえばいつのまにかwikiクーロンズ・ゲートの項目から「エニックスが保身のため脅威となる新人を潰した」という文言が消えてますね)。

どのゲームも、2005年あたりに今の技術で作られたら、さぞや、と妄想したくなるけれど、いやしかし、早すぎましたね明らかに、という時期に作られたからこその「伝説」。ゲーム内のダークな心的状況が当たり前に散見される昨今では、それこそ当たり前すぎたかも?