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横尾忠則東京Y字路写真展@西村画廊

東京Y字路


横尾忠則の写真展「東京Y字路」の最終日に駆け込み。画廊が日本橋高島屋の近くだったので高島屋のあのクラシックなエレベーターで屋上に登ってしばし日光浴のあと、2階のロブションのカフェへ。ガレットを食べたのだけど、ロブションは四角じゃなくて三角に包んできましたよ。…ちょっとモノアイっぽい。



ちなみにシーフード+ラタトゥイユのガレットにしたのだけど、フォアグラ・洋梨の赤ワイン煮・トリュフという具のガレットもあって、シャンパンやワインの時間なら合わせてみたいと思った。というか内装が赤と黒+クリスタルで、圧倒的に夜な雰囲気なのです。夜には閉まってしまう百貨店の中なのに! ちなみに最初、土曜の午後なのにがらがらで経営を心配したけど、おやつ時間を過ぎたくらいから、一人でシャンパンを飲む女性あり、カップルでワインと、なにがどうなっているのか興味をそそられるメニューを頼む二人あり、家族連れありと、どんどん混んできて一安心。


それから西村画廊に移動してY字路。壁一面の大きさにプリントアウトされた作品や、檜原村まで含む東京都内のあちこちで撮影されたY字路の数々に圧倒され、幻惑される。渋谷区の一角などは、住所標識や動物病院の看板などからして絶対通りがかっていると思える場所なのだけど、写真のように車道の真ん中に立つ、というアングルでそこを見た記憶がないためか、思い出せそうで思い出せないもどかしさ。


別室にはY字路がモチーフのリトグラフも数点あって、それを見ていると横尾忠則は山を見てそこに母性的なエロスを感じる人に似て、Y字路に追憶交じりの複雑な欲情を抱いているのだなあと思う。さて別室から出てきて写真に撮られたY字路を見ると、二股になった道がすべて「あったかもしれない可能性」込みで、こちらを誘っているようにも思え、だんだんくらくらしてくる。左に行けば、右に進んだときの可能性は潰えて、右に行けば左に行った場合の未来は消える。ああ、もどかしい。


今日はきっとそういう強烈な写真体験をするのだろうなー、と思ったので、対抗するために戦闘服として着物を着て行きました。着物は黒地になにやら草(ヤマブキかなあ?)の線画の上に真っ赤な紅葉、足袋は赤と黒千鳥格子。結果として合わせたわけではないけど、ロブションのカフェの内装とおそろいの色合いに。



しかし、そういう心構えをして見に行ったけど、やっぱり質量ともにY字路写真はそうとうに強烈だったようで、帰ってきてからしばらく経つけれど、頭の一部がずっとぼーっとしたままです。