『天才スピヴェット』@渋谷ヒューマントラストシネマ
天才であることと、「自分はいらない子だ」と思い込んでいる10歳であることの孤独が交じり合って、胸を打ちます。天才じゃない観客が感情移入できるのは、誰もが持っている10歳のあのころの孤独を描き出しているからかなあ。すっかり子どもでなくなった観客を、10歳の視線に引き戻す巧みさに舌を巻きます。
タイトルが出る前に「詩人こそが科学の限界を突破していくのだ!」と教授が高らかに宣言して出てくるタイトルは、それこそ詩的に、T.S.からエリオットを思わせる紹介の仕方をしているんだけど、それが日本語だとうまく表現できないのでこのタイトルになったのかなと思うほど、始まりの部分だけで英米文学の古き良き伝統を感じさせてくれます。