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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『ガルム・ウォーズ』吹替版@新宿バルト9

http://www.youtube.com/watch?=btT2DdJ2BSQ

『ガルム・ウォーズ』、見た。見終わった。
うーん、

映像は美しいんですが、

音楽もいい仕事してるんですが、

声優さんもきちんと以上にお仕事されてるんですが、





映像作家としてはおいといて、監督、映画作家としては劣化してないか? 脚本段階での「神」ネタがその扱いとともに粗雑過ぎ。厨2の「ぼくのかんがえた新世界の神」感がきつかったなー。

ユダヤ教の神は、ドルイドケルトにはキリスト教になって「父のように愛する神」にかわってから伝わったので、ユダヤ教本来の「妬む神」を持ち出すのはどうかと思うし、それならケルトの神というか信仰対象が何であって、どう消えたのかをリサーチ力と想像力を持って入れ込んでほしかった。

あるいはキリスト教の神が人間を哀れに思って成長体で更新されるようにした=でもそれって独裁者の思考だよね、蜂起しよう、の方向とか。

監督は早稲田大での公開講義

押井は本作について「北欧・ケルト神話や旧約・新約聖書も入ってる。いろんなものの折衷をして、自分の中に神話体系を作っていくこと。古典の教養は非常に大事です」と熱く語った。

とのことですが、聖書と哲学を通り一遍、知っているだけのわたしのようなものにも「雑」と言われるような設定をするとは……。これが老化なのだとしたら、30年来のファンとして、とても哀しい。

あ、ちなみにグーグル様に上映館を聞いたときに映画ジャンルに出てきたスリラーでも、もちろんなかったです。

絵面的には、ああ、これ見せるためだけに脚本でっち上げたのかなあ、と思ってしまうほど監督お気に入りモチーフによる既視感。

あと、ナンバー666ということでエデンの園の蛇のつもりなのか、娘道成寺みたいになるところは質量保存の法則どうなってるのか、とか、その変化の必然性は、とか、エヴァの使徒あるいは羽根骨格の増えた巨神兵みたいなものにも、ほんとにこれがやりたかったことなんですかい? という疑問が。

やはり、原作なしの実写押井守映画とわたしは相性が悪いようです。