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なぜハマスは攻撃続行の意思を表明しているのか?

イスラエル停戦」とのニュースで、「なぜハマスはさらに死傷者が出る可能性がある攻撃続行の意思を表明しているのか?」と思う人は多いと思います。わたしはいつもはてDに書く前に考えをまとめるためにmixiで同じ内容の日記を書くことが多いのですが、今回のニュースにリンクして桑山医師の活動を紹介する日記で、上記の質問を受けました。それに対するわたしの回答コメントは以下のとおりです。


イスラエルが宣言しているのは停戦「だけ」だというところに問題があります。もともとハマスが(というかハマスパレスチナの人たちによる公正な選挙で選ばれた政権であって、武力でパレスチナを制圧しているテロリストではないのでパレスチナ人たちが)、以前から要求しているのは検問所の封鎖の解除、もっといえば「占領」の解除だからです。


検問所の封鎖によって、浄水所・発電所を直す資材も入ってきませんし、移動のためのガソリンも満足に入ってきません(レストランの廃油で車を動かしていたりするんです)。もちろん、日々の食料や病院で必要なものもとうてい足りているという状態ではありません。


ガザの人たちが求めているのは、そのような非人間的な生活からの開放です。今回のあまりにもあからさまなイスラエルの攻撃で、国際世論が盛り上がったこともあり、ハマスはエジプトを通じたイスラエルとの交渉で封鎖の解除までコマを進めたかったはずです。そして、イスラエル以外の同じイスラム圏のトルコの軍隊ならばイスラエル軍のかわりに駐留してもかまわない、というところまで譲歩していました。


ところがイスラエルはそのような何ヵ国もが関わっている交渉をぶん投げて、一方的に停戦を宣言したわけです。これはハマスに対し、1対1で話をする相手じゃない、と言っているも同様の態度です。ハマスの「攻撃続行表明」は、もう一度イスラエルを交渉のテーブルにつかせるための命がけの切り札だとわたしは思います。


ハマスの報復を本気でなくしたいならば、まずはイスラエルがきちんと交渉のテーブルに着くことが必要なわけです。そして国際社会がハマスをテロリストではなく政府として認めて同じく交渉のテーブルに着かせることも。


かつてPLOアラファト議長が出て来たとき、最初はアメリカは彼のことをテロリストと言っていました。しかし、ヨーロッパのいくつかの国と、そして珍しいことに日本がアラファトパレスチナ人の代表と認め、何度も東京に呼んで話を聞いたり話を聞かせたりしていました。


「やっぱりパレスチナ人の代表と1対1で話さなきゃだめだ」とアメリカ(とイスラエル)が思ったときに、ヨーロッパの国や日本のようないわゆる先進国が彼を認めていた経緯があったからこそ対話が実現したのです。とはいえ2001年にイスラエルアラファトと断交し、パレスチナの占領へと向かったわけですが。


ちなみにアラファトと彼の交渉を巡る状況については、ここがわりとコンパクトにまとまっています>
http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/r12-205.htm


ほかに彼の死をめぐるこういう見方もあります>
http://www.tanakanews.com/e1110arafat.htm


[追記]イスラエルの「一方的攻撃停止」はまやかしだ
http://0000000000.net/p-navi/info/news/200901181513.htm