読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

バレエ『魔笛』モーリス・ベジャール・バレエ団@東京文化会館

ベジャールの『魔笛』、モーツァルトの音楽をバレエで見るというのがこれほどの歓びだとは思わなかった! というくらい面白く見ました。モーツァルトが、まるでベジャールがそのように振り付けるとわかっていたかのように音楽とバレエがシンクロするシーンは鳥肌モノ! 上野の東京文化会館では、11月18日、19日も昼公演があるので、ご興味ある方はぜひ!

劇伴は、カール・ベーム指揮のベルリン・フィルと夜の女王がロバータ・ピータースの『魔笛』。歌唱はドイツ語、地のせりふと弁士のせりふは弁士ひとりがフランス語で語り、このフランス語のみ日本語字幕が出るしくみ。そのためか、幕間に「歌の字幕が出ないの、ひどい!」と憤っている方をちょこちょこ見かけました。そうした方々が話についていけなかったのか、1幕から寝落ち率高し。わたしの周囲のほぼ寝てた(「ンゴッ」と鼾かいてる人まで……)方々が、カーテンコールでは、さも熱心に見てたかのように、熱烈に拍手してたのにはびっくり!

ただ、モーツァルトの歌劇のなかでも特に難解といわれる『魔笛』を、バレエの哲学者ともいわれるベジャールが振り付けるのだから、そこはやはり各自予習が必要なんではないかと思ったり。

演出としては、あのマークを人体で表現するだけじゃなくそのものを出しちゃうんだ、とか、「夜」が「月」に矮小化されつつもにこやかに生き残るラストにもわたしには驚きや歓びがありました。

ただ、わたしは『魔笛』に関しては、ザラストロはほんとに偉大で善良な司祭なのか? 実は外面のいいDV男で、そのせいで夜の女王がああなったのでは? と、夜の女王に同情的なのです。なのでベジャール版のラストはうれしかったなあ。

そんなわけで、着物は舞台を見る前は夜の女王が滅ぼされると思っていたので、彼女のために、夕方の月のイメージで。

f:id:Mmc:20171118010323j:image