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え、ワーグナーでフランス国旗?/『新世紀、パリ・オペラ座』@ル・シネマ

映画『新世紀、パリ・オペラ座』、予告編を見てすごーく楽しみにしてました。楽しみにしてた理由は「内容が多岐にわたりつつも濃そうなドキュメンタリー」ということ。期待の新人や、次から次へと湧いてくるトラブルを、オペラ座総裁はどう采配したのか? とわくわくさせらせる予告編だったのです。

 

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ただ、冒頭、ワーグナーの音楽にのってフランス国旗が立てられる場面で、一抹の不安……。そこ、ワーグナーのそれ、使うんだ、という。で、見終わって、予告編からの期待は裏切られてしまいました。総裁、オペラ座バレエ団芸術監督、ヨーロッパとロシアの境あたりの田舎からドイツオペラを経由してオペラ座のオーディションに受かった新人歌手とか、舞台進行さんとか付き人さんとか衣装さんとか美術さんとか、いろんな視点があるのはいいけど、それぞれあともうちょっと踏み込んだところが知りたい、という感じ。

フランス以外ではナタリー・ポートマンの夫としての方が有名になったけど、元ダンサーとして鳴り物入りでバレエ団芸術監督に就任したはずのバンジャマン・ミルピエ辞任の件*1とかは、特に期待して見る人も多いんじゃないかと思ったのに、うーん、意外とあっさり、というか型通りというか。

と、思っていたら、ミルピエについては知らない間にこんな映画が公開されてたんですね。下高井戸とか目黒シネマにかからないかなあ。

 

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新世紀、パリ・オペラ座』は、映画としては画面も使われる名曲も美しく、駄作ではないんだけど佳作でもないところが隔靴掻痒。悩める総裁のみにフォーカスするとか、あるいは視点が多様でも舞台裏を支える人達の技術にもっとフォーカスを当てるとかならもっと見応えを感じられたのかも。実際、「あっ、インスタにのってるダンサーのカーテンコールの映像、考えてみりゃそうだよね!」っていう今様付き人スキルとかあったし。

*1:わたしはパリオペ生え抜きのオーレリ・デュポンが急遽だけどミルピエの後任になったのはよかったと思ってます。本人はもう少しフリーの立場を楽しみたかったかもしれないけど。