華麗なる加齢の馬脚
今年の3月11日は、長年共に活動している、コミケや文学フリマ的なものには不参加の大学文芸部OBサークルの活動日だった。去年の暮れにできたOB誌4号を囲んで合評会、黙祷の時間を挟んで会計報告、そして会計責任者の送別会と、やることたくさん。
OB誌はあれこれいろいろあって、前号から15年ぶりの発行。いろいろのなかには、人間万事塞翁が馬的なできごとで、2012年ごろ(たぶん)わたしが復帰するということもあったり。
ところで歌手はその歌声と実年齢が結びつきにくかったり、画家・写真家はその作品から読み取れる年齢が食い違っていたりということがよくあるけれど、小説や詩などの文芸作品もそういうところはある。過ごしてきた年齢を遠望することで、その年齢を実際に過ごしていたときには説明できなかったことをわかりやすく記し、かつ加齢を感じさせない、ということができるからだ。
- 作者: エリック=カール,もりひさし
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2010/08/23
- メディア: ハードカバー
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なにしろ作品内では違う年齢や性別だけでなく、毛虫や醜いアヒルの子や、擬人化すれば食べ物になることも可能なのだ(実際今回のOB誌で生成されゆくチーズに仮託した作品群を仕上げたメンバーがいた)。
ところでわたしはしばらく文芸サークルから離れていたので、復帰してしばらくは何を書けばいいのかわからなかった。ウェブでときおり妄想小説的なものを書いてはいたが、それは二次創作だったりパスティーシュだったりだった。
大学文芸部現役時代にしきりに書いていた、オリジナルな文芸作品というものはもう書いていなかったし、書き方も忘れていた。そんなわけで、しばらくはそうしたパロディ的な作品を、OB誌4号に向けての習作同人誌に載せていた。締め切りまでに創作ができないと、映画やバレエの鑑賞記録を載せたりしたことも何度かあった。
それもサークル仲間は面白いと言ってはくれたが、やはり期待されているのは、現役時代に書いていたようなオリジナル作品のようだった。
ただ、パロディ的なものとはいえ、継続して書いていると脳が刺激され、勘が戻ってくるようで、現役時代には書かなかったタイプの作品のアイディアが、習作同人誌の締め切りに迫られて出てくるようになった。それで書いた小説は、中高生たちが主人公。
おおむね好評で、「ふふふ、無事、いまどきの若者に化けおおせたぞ」と思っていたところ、思わぬところで加齢を指摘された。
後輩1「先輩の小説の中高生、リアルにいそうではあるけど、ひとつだけ」
わたし「?」
後輩1「いまどきの若者は、成人病って言わないと思うんですよね」
後輩2「生活習慣病だよねー」
後輩1「そうそう」
ああっ!
しまったあああああーーー!!!
仕事上の校正校閲では気をつけているのに、趣味だとやっぱり気が抜けるのだろうか、それともこれが自己校正の限界ということだろうか。
そんなわけで、加齢臭の感じられるところがないか、あらためてチェックしたものをちまちまとアップしていこうと思います。