罪深き不正:神学者が神学者とその論文を捏造
「神学者が神学者とその論文を捏造」って、な…… 何を言っているのかわからねーと思うが、おれも 何を読まされたのかわからなかった……。
神学者カール・レーフラーは、
存・在・し・な・い・ッ……!!!
いや、東洋英和の院長の研究不正の話なんですけどね。調査PDFが東洋英和女学院大学のサイトに上がっているのですよ。それを見るといろいろな疑問が湧いてくるのです。調査PDF自体は、多少論文を書くことを知っていたら、かなり興味深く読めるものです。不謹慎だけど、推理小説のように面白い。
捏造に関しては昨秋にご本人が「資料は捏造指摘者が想定する人物とは異なる人物から入手した。その人物の了解が得られたので公表したい」とか宣ってたので、埋もれた資料や論文が発見されて終わりになればいいですね、と思っていたけど、タイプライターで荒っぽく捏造のうえ、盗用までとは。
それにしても、いくつかの論文を基に捏造した論文タイトル「カール・バルトの神学にとってのニーチェ」をなぜか失念して、自分の論文中では「今日の神学にとってのニーチェ」としてしまったのはなぜなのか。
というかわたしもドイツ語には明るくないのですが、「カール・バルトの神学にとってのニーチェ」なら「Nietzsche fuer Karl Barths Theologie 2」ではなく「Nietzsche für die Theologie von Karl Barth 2」とかになるのでは? およそドイツ人の書くドイツ語ではないというか、ドイツ語を知ってる日本人の書き方っぽいように見えるし、論文、それも神学論文のタイトルにしてはラフすぎるような。
あと、Karl Barth に「s」が付いているのもよくわからない。英語の「's」じゃあるまいし。日本語名で「2」が抜けているのも不明。待てよ、じゃあ「1」も作成してたのだろうか。「die」が抜けてるのは、うーん、ぎりぎりアリかな?
そして盗用するのに捏造論文の元ネタの一つの論文の邦訳書から引用してしまっているのも詰めが甘いなと思う。まあ論旨が破綻しないようにするとすれば、そうせざるを得なかったのだろうけど。
でも、調査委員会にドイツ語のウムラウトが打ち出せないタイプライターで捏造した当該論文を提出したのも、家計簿と偽って科学アカデミー分科会の手書き議事録を提出したのも、悪あがきにしても不可解。そんなの調査委員会にドイツ語読める同業者が含まれるだろうし、すぐバレるだろと思うのだが。
そもそもキリスト教神学者として、神以外のものが人(存在しない神学者)を作ってはいけない、とは思わなかったのだろうか、というのは冗談だけど、東洋英和のトップである院長という立場に50代半ばで昇りつめてるのに、こんな罪深い捏造をしなければならなかったのは、なぜなんだろう。早急にわかりやすい賞を取るような業績が必要な、なにか理由でもあったのだろうか。
それにしても研究不正の何が罪深いかって、研究不正した人物の過去の業績も調査する必要があったりして、当時は学生だったような無関係な研究者が駆り出されたりとかすると、その間、その分野の研究がstuckするんですよ。つまり関連学会の研究の進化と深化を止めてしまうんですよ。キリスト教神学ファンとしてふざけんなって気持ちです。