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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

民間衛星通信

今日の勝谷誠彦氏の日記で明かされた氏の3/9までの日記更新方法は、ほんとほとんど『攻殻』の世界。

http://www.diary.ne.jp/user/31174

更新場所と内容にもどきどきだが、公安9課という国家組織どころか、企業が後ろ盾とはいえ個人レベルでこういうことがまさに今、実現しているのだから、ITの世界の10年一昔どころか1年で7年分くらい進むといわれるドッグイヤー的進捗状況では『攻殻』の世界なんてすぐ来ちゃいそう。東大じゃ光学迷彩の研究をしてる研究室もあるしね(参考文献に『攻殻』があるのがほほえましいというかなんというか…)。

さて、わたしは『イノセンス』を見てしまったヒトなので、ウェブ上で関連情報を読み始めました。なつかしい『天使のたまご』の話題なんかもちらりと出てきてうれしいが、なにより、いまどきドラマの中でも見ない「男同士の熱い絆」が作品の完成と成功に深く関与してるのが垣間見られるのが興味深い。

プロデューサー氏が言うように、ほんと、そろそろ押井守にはギャグもありの娯楽作品の方向へ戻ってきてほしいとわたしも思う。身体性ということを言うなら、犬の体温より人間の笑いをやってくれないと! でも『天使のたまご』はアートとしては素晴らしかったので、DVDは買おうかな、と思っているのですが。

以下、『イノセンス』各公式サイト。これらのページで気づくのは、見るためより映画の中のいろんな物音を「聞く」ためのヒントかもしれません。耳のセンスが人より劣るわたしだけかな?

そしてリンクの後から、なるべくネタバレしないように『イノセンス』周りの印象をメモ。お嫌な方はスクロールしないでね。

イノセンス』公式HP>
http://www.innocence-movie.jp/

イノセンス』読売HP>
http://www.yomiuri.co.jp/adv/innocence/

ジブリの挑戦」イノセンス関連記事>
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/ghibli/cnt_challenge.htm

東京大学 舘研究室の光学迷彩に関する研究>
http://www.star.t.u-tokyo.ac.jp/projects/MEDIA/xv/oc-j.html

『GHOST IN THE SHELL』、TV版、そして今回の『イノセンス』。これら映像版『攻殻』すべてに共通する快感として、ものすごい勢いで打ち寄せてくる情報の波に、観ている間中、愛撫されているかのように神経が洗われつづける体験がある。

通常、わたしたちがインターネットで情報を収集しようとする際は、よっぽどピンポイントでなければ、あるいはピンポイントであればあるほど、瑣末で煩雑な情報が入り混じった中から、求める情報を拾い出すことになる。映像で表現された『攻殻』の世界ではこの、ネットで情報を検索するときの体感スピードをそのまま再現するのと同時に、電脳化社会において大量の検索結果が意識に流れ込んでくる架空の状況を描き出している。

その状況の構築の仕方は、ネット上の情報に当たる際のスピードが理解可能な速度なだけに、生身のわたしたちにリアリティを感じさせ、さらにはネットの世界での検索→目的にヒットという現在のわたしたちのリアルがバージョンアップしたかのような体験をさせてくれる。

しかし、この世界が、それもとくに今回の『イノセンス』が、単なる近未来電脳化社会体験映画に終わらないのは、いくら義体化・電脳化しても払拭できない、人間の特性が描かれているためだ。映画版の前作『GHOST IN THE SHELL』の素子の場合は、ネット上の人格「人形遣い」と合体することで、その「人間らしい部分」を超え出てしまったんだろうとは思うが。

ちなみに『イノセンス』を観てわたしは、雪山遭難に関する、幽霊も妖怪も出てこないとある怪談を思い出していた。それは、「人間らしさ」というものが無意識の領域に根ざしている、と提示したお話だ。これについては公開後、また別の場所で。