読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

帰りによく行くちゃんぽんの店に寄った。通りの角で、うどんかちゃんぽんか、一瞬迷って左に曲がる。ガラス戸から中をうかがうと、入り口近くの席はいっぱい。お店のおかあさんと目が合う。

なんだかぴりぴりしてるみたいなのを、ドアを開けざまに、「まだ、いい?」と訊くと、「早くね!」と言いながら、手を取らんばかりに奥の席へ。そして、「ちゃんぽんと皿うどん、どっちッ?」と、やっぱりまだぴりぴりしたまま言う。麻婆茄子とかも食べたかったんだけど、と思いながら、でもやっぱり「ちゃんぽん、ふつうの」。

いつもすぐ出るおしぼりとお水の順序と違って、しばらくしてやってくるおかあさん。

「アイツラ、ウルサいのよッ」と、『アイツラ』のところで頬に傷のジェスチャーをしながら小声でいう。「こんな店で、全員の料理一度に揃えて持って来いッて! ごめんね、だからほかのテーブルのオーダー止めたりしなきゃなんないの」。オーケーオーケー、ていうかそんなにわたし餓えて見えましたか今日も。

さて、もっと待つかと思ったら、意外に早く皿が出る。けど、なんかコレ、盛りが… 「具、大盛りにしといたから!」。あ、ありがとうございます、いただきます、って麺になかなかたどり着かないよ。大盛りっていうより特盛りって感じだ。酢をだらだらーっとまわしかけて食べ始める。あちい、うまいで、こめかみやら首の後ろやらから汗がどぅわーっと噴き出す。慌てて髪留めを出して止め、また食べる。ふう。

食べ終わって、ごちそうさま、と出ようとすると、入り口側のおにいさんたちがいっせいに、振り向いてまで見る。わー、なにー(汗)と思うが、レジにおかあさんがいない。店で遊んでるおかあさんの小さい娘に訊くと、彼女が外を指差した途端、おかあさんが入ってきた。

こういうときはとりあえず笑顔笑顔と念じながら歩くレジまでの空間は、異様だった。

ちなみに、一瞬迷ったうどん店のほうはセルフ式なので、まさに通りの角が運命の分かれ道でした。