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この日の駒場のライブで、やっと瞳ちゃんのいないスパンクスに馴染むことができた。
もともと気分の切り替えがヘタなところに持ってきて、前の晩も未練たらしく『フロイドと夜桜』を聞いたりしていたのが、菊地さんの吹いた息を夕風がひきついで漂わせた香水が、ビートでダムダム弾のように弾けまくって、口パクなのに「音楽」が現前して踊っているあいだに、『スパンクハッピーのテーマ』のときには、瞳ちゃんのいないステージを現在として受け取っていた。
毎回、生け贄として消えていく名前のない巫女がいる、という状況で音楽がステージに現前するという最近のスパンクスの様相が、ダンスを引き起こしているのかも、と妄想していたのがまさに眼前に展開されたからかもしれない。
ほんとうは連れと行くつもりだったのが、ひとりだったのも、逆によかったのかもしれない。お洋服は連れにチェックを受けたのだが、サテンのシャツに防寒を兼ねて、ツイードのジャケットを重ねたら、ちょっと不満そう。しかし、保温性があるとはいえ、いくらなんでも晩秋の夕方の屋外で、ボタンを二つ外したサテンのシャツを着ているのがわかる格好は苦しい。
うちでは女性パートについて、「どこか大学でスパンクスのライブがあるときは、そこのミス○○大がステージに上がるとかどうだろう」と出かける前に言っていたのだけど、今日の方はそれくらいの年齢(19〜21以内)のように見受けられた。JJのモデルとかしてそうな感じ。
ところで、数度にわたる香水空爆の硝煙圏内にいたせいなのか、帰ってきたら飼っている猫が明らかに嫉妬して、じっとこちらの目を見て、詰るように鳴きながら、まとわりついてきた。スパンキング好きの美しい彼女と音楽がわかちあえないのが、今日はいつもよりとても残念。
※菊地さん本人にMmcが送ったファンメールをリサイクルしています。