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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『理由』

いやあ… みごとな大林映画でした。よくできてるくせに、怪作。
出てくる登場人物人物、いちいち有名人なのに、というかだからこそ、そこに無名性が生まれて、でもそれぞれのさすがの演技の巧さで実在性が生まれる不思議。そんなふうに殺人事件が題材の小説を撮ったら、やや当然ながら、映画自体が事件と言わざるを得ない驚嘆。そしてそれを成立させた監督の体力に脱帽。
去年から日本映画の新作で、「見たいな」と思うものが増えてきて、しかもうれしいことに「当たり」ばかりなのですが、今日のは格別。街のノイズや、ジャズの切れっ端、ふだんノイズのように見飛ばしている風景を多用した場面転換のリズムには、シビれます。うわさに聞くエンドロールの不気味な歌(おそらく監督自作)で、煙に巻かれもします。