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『Howling in the Night2005〜押井守、《戦争》を語る』

戦争に反対したり、あるいは賛成したりするには、まず戦争について知らなければそうする権利はないと常々思っているわたしにとって、忙しくなる年度末のヘソ部分で、希望の星のように楽しみにしていたイベント*1です。東京タワーを見下ろす高層ビル40Fで聞く、戦争に関する話尽くしで4時間強の押井噺はたまらないものがありました。

写真は、3/5公開の映画『ローレライ』のため、押井守監督がデザインしたB29のエンブレム。『ローレライ』の樋口監督は「犬橇で」と発注したのに、押井監督がなぜか「犬小屋で」と勘違いして作成したのだとかで、犬小屋が犬を内蔵したまま飛んでます。

立喰師列伝
ところで押井監督×映画といえば、まずこのニュース。

立喰師列伝』の映画化に、このイベントの前日、GOが出たそうです!

超低予算でキャストはプロの俳優ではなく、漫画家さんや映画関係者といった押井人脈で、単館上映になるでしょう、とのこと。毒島さんあるいは「死神博士*2の不在だけが残念ですが、高校生の時からの夢想がとうとうリアルな映像で見られるかと思うと、感無量です。

映像といえば、主催&4時間ぶっ通しで司会の野田真外さんの作られたオープニング映像も、音楽ともども『紅い眼鏡』予告風味で煽る煽る! この日のためだけだなんてもったいないです〜。押井監督の「パックス・ヤポニカ・プロジェクト」小説版の、初版おまけとしてDVDにならないかしら。

また、第2部開始のときには『イノセンス』の台湾ロケハン映像や、押井監督がプロデュースした愛知万博中日新聞プロデュース共同館*3のデモ&プロモ画像、『ローレライ』の長めのプロモも流れて、かなり盛りだくさんでした。

さて、イベント本体は四時間もの長丁場でしたが、みっちりおもしろく、体感二時間半くらいでした。ゲストの軍事評論家、岡部いさく氏の冷静なツッコミや、第2部から加わったゲスト、『ローレライ』の樋口真嗣監督の爆笑に爆笑を誘う喋りのプロのような話術で、もっと聞いていたいトークの妙。 録音、撮影、口外厳禁のイベントに見合う、そしてそれが残念な質と量で、ホットな情報がホットな身振りで飛び交ってました。押井監督の滑舌もめちゃくちゃよくて、今まで聞いたなかで一番くらいに聞き取りやすかったし。

ところで質疑応答のとき、挙手して指名された3名のうち、1名は西村しのぶのマンガに出てきそうなきれいにカラリングした長髪×メガネにスーツのイケメン、もう1名は野村万斎のような美男子。しかも、ヲタ風味な外見じゃないのに濃ゆい質問&深い質問で、女子の押井ファンには一粒で二度おいしかったのではないでしょうか。後者の質問はちなみに、『近代能楽集 (新潮文庫)』と押井プロデュース作品に関するもので、今更ながら多様で多面的な読みの能力を試される世界だなあ、と快い緊張感に包まれました。

それにしても、来年が今から楽しみです。日曜でもあるし、いっそ、『イノセンス』前夜祭のように、土曜深夜から日曜の明け方までなんてどうでしょう?*4 

*1:主催:http://www.granaten.co.jp/index.html

*2:天本英世氏。氏は押井監督の映画『紅い眼鏡』にて、初代「月見の銀二」を演じた。毒島さんは天本氏をモデル、というか天本氏as死神博士を元ネタとした、マンガ『究極超人あ〜る』の登場人物

*3:http://www.expo2005.or.jp/jp/C0/C3/C3.7/C3.7.9/http://www.chunichi.co.jp/banpaku/050119T1004003.htmlhttp://expo2005.chunichi.co.jp/theme.html

*4:野田真外さんに振ってみたところ、「うわーもう勘弁して下さい限界です(笑)。」だそうです。たしかに最後の方、同じく4時間出ずっぱりの押井監督も、声枯れてたしね