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『ローレライ』感想・その2

ある意味、オタ属性リトマス試験紙として、今後の映像コンテンツの動向マーケティングに有効なんじゃないかとさえ思われる戦争エンタティメント映画『ローレライ』。しかし、サブカル、というか、アニメへのオマージュがあからさまで、元ネタとかに思い入れがない観客には「?」なんじゃないかとびくびくものな部分があるのも事実です。なんといっても原作者が激しく『ガンダム』マニア、そしてそれを映画化した監督は特撮・アニメ畑の優等生。

まず、最初に伊507潜水艦が対決する米軍側が、あからさまに黒い三連星! 紅一点の少女は、『ラピュタ』のシータだったり、『ガンダム』のララァや『エヴァ』の綾波だったりします。ドイツから兵器といっしょにやって来たオペレーター、という点ではアスカでもあり。戦闘服はまるっきりプラグスーツだし。その少女を補佐する少年兵を、潜水艦の艦長は「子ども」と分類するのですが、彼はさしづめ、『ラピュタ』のパズーかアムロ? 家族不在という点では、シンジくんをも思わせます。

ほかに、伊507を持ち駒として使おうとする将校はシャアだし、その手先として潜水艦に乗り込む軍属は、外見からして『ラピュタ』のムスカそのものの役柄。さらにその同胞のピエール瀧は、『ナウシカ』のクロトワめいてます。清酒を瓶からかっくらう機関長は、『ヤマト』の佐渡先生や徳川機関長を彷彿とさせ… と「あの大好きなアニメのキャラで第二次大戦に参戦したら?」というシミュレーションのよう。

で、それが内輪受けで終わってなくて、つまり、物語として破綻してないのがこの映画のおもしろいところ。監督のトークイベントで、「戦争には負けたけど、戦いには勝った映画です」と聞いていた、そのとおりでした。

というわけで、おもしろいですよ。純然たる戦争映画*1を期待して見に行かなければね。

ちなみにわたしは、「いや、あれは戦争映画とかじゃなくて、『帝都物語』『帝都大戦』とかと同じテイストの映画だから!」と思って見に行きました。そしたら、それにとどまらず、その上さらにラピュタだったりエヴァだったりしたわけです。

*1:ちなみに井筒監督もツッコミ入れたという髪型の件は、こういうことらしい(わたしは軍隊ではありえない言葉遣いとか、米太平洋艦隊のありえない布陣のほうが気になりました)>http://blog.livedoor.jp/dais/archives/16161204.html