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凍死する時にはきっと

南米のエリザベス・テーラー(DVD付)
菊地さんの今日の、ステージ下のカメラマンの方へのにやにや笑いと、南さんの鳥みたいなつまづき未遂、そして、今日の演奏が頭の中いっぱいに広がるんだろうな。

そんなことを思うくらい、ライブハウスは寒く、演奏は強烈でした。帰りに後ろを歩いてた女の子が「尋常じゃない寒さだったよね」と言ってたけど、腎臓に障りが出そうな尋常じゃない寒さ! あんまりからだが冷えたから、歩いて帰ってきたよ。そしてすぐシャワー浴びた。

ところで寒さが解消し難かった理由の一つとして、着席式だったことと、トップバッターのブランドン・ロスが派手な盛り上がりに欠け、かつ演奏時間が長かったことは否めない。中盤の曲で、ドラムスとかが客席に手拍子を求めるものの、ほとんど応じる手もなく、ちょっとかわいそうなことになっていた。これ、苗場の夜のオレンジとかレッドだったらよかったのにねぇ… という泥臭い系のジャズ。

ステージ上にエレキ・バンジョーを見つけてしまった時点で「あー…」と思ったのですが。ドラムスが頑張っていて、それでノレそうになってくると「でもさ、ジャズはもともと…」みたいに冷や水モードに入ってまたさらに空気が冷え込んだりして、ステージも客席も不完全燃焼なまま終了。
Montage
南米のエリザベス・テーラー(DVD付)仕様の菊地成孔とpepe tormento azucarar(ペペ・トルメント・アズカラール)では、相変わらずカヒミ・カリィに釘付けのわたし。菊地ファンであり、今回のステージの菊地さんは、DCPRGのときよりもさらに、わたしの好きな男子のタイプのなかの「小柄」「痩せ」「意地悪そう」「鼻持ちならなそう」「神経質そう」などなどを如何なく顕現していたにも関わらず、やっぱりファン歴の長いカヒミ・カリィが出てくると、目から涎が垂れそうなくらい見つめ続けてしまい、「こっち向いて! でもわたしを見ないで! ぞっこんなのがバレて恥ずかしいから!」などという、身悶えするようなどうしようもない精神状態に陥ってました。

ところで、こんなことはわざわざ書かなくとも、あるいはあちこちで何度も繰り返し書かれていることなのかもしれないけれど、生のステージはその前にいると、レコードやCDやDVDには納めきれない楽器や声帯からの、可聴域には至らない空気の振動に、頬や肌を撫でられる心地が格別だ、ということを、改めて弦楽器の多いペペ・トルメント・アズカラールのデビューライブで感じたのでした。

そして、自分の好きな音楽をものする人とセックスしたい、と思うひとの気持ちというのは、「あの気持ちいい空気の振動を生み出す技を、聴衆全般にじゃなくて、わたしにだけ向けてちょうだい!」というものなのかもなあ、とか。それはたとえ、そこに電子的な音響機器が介入していても(あるいは音楽の種類によっては、だからこそ、ということもあるでしょう。わたしの好きなタイプのテクノとか)。

だから、着ていったお気に入りのビスチェっぽいデザインのキャミソールの上に、ライダース風ジャケットを着続けていなければならず、肌の曝せない会場の寒さは、よけい、恨めしかったわけ。

そんなことを感じさせられたりなどして、ステージ自体はとてもよかったのですが、いかんせん恵比寿汁部屋寒い。寒すぎる。いつもあんな寒いのか? 気付くと両脚震えてたりした。あの豪風クーラーにみんなよく耐えたよ。クールビズ仕様の男子なんかはそうとう辛かったんじゃなかろうか。



※一部、菊地さんご本人に送信したメールを再利用しています。