読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『And Your Bird Can Sing』

日曜は、この日が最終日の友人の個展*1へ。ギャラリーは世田谷の廃校になった中学校の校舎を再利用した場所*2。天井は高いのに、椅子や、理科室あるいは技術工作室のものだったらしいテーブルがちょっと小さめなのが不思議な感じ。

さて、実を言うと、作家「遠山敦*3」本人の作品を直に見るのは今回がはじめて。そして、はじめて本人と会ったときは、お酒の席でかなりおもしろいひと(女子のカーディガンを無理矢理ぱつぱつにして着て、妙にうれしそう、とか)になっている状態で認識してたのですが、昼間会ってもそんなに変わらなかった(笑)

そんな本人と時折あーだこーだ言いながら見た作品は、ウェブで見ていた毒入り乙女な印象から、善と悪が分かたれていない子どものパワフルさという印象に変わりました。
ウェブや印刷物で感じた、隠されている毒を解読するおもしろさがある、ということだけではなくて、本人が絵としてしか表現できずにそこに込めたなにかが、見ているうちにいろいろなストーリーとしてわき上がってくるのです。

たとえば、一枚だけ、図鑑から採ったというリアル・タッチの鳥がコラージュされている作品からわたしが読み出したのはこんなストーリー。

左上の地球から飛び立った死せる鳥たちの魂は、ホットケーキみたいな満月に近づくにつれ、個や種の境界を溶かし、一繋がりになっていく。
一方、月の裏側、地球から見た彼岸の世界では、これから生まれようとする鳥の魂が超高速で回転していて、そこから撃ち出されるように弾き飛ばされた魂だけが、地球でリアルに鳥として生を享けることができる。
そのことを知ってか知らずか、魂たちはいよいよ速く回り続ける。

ところで、作品は絵だけではなく、彼の絵が描かれた、まるい板をつないだ風鈴みたいに涼しげなモビールが何本も吊されていたり、「メトロミニッツ」の企画で作られたTシャツ*4があったり、神戸のセレクトショップから今回のために呼び戻したという、大きなアボカドのような色と質感の、時計のついた卵型のバッグ*5があったりもしました。
このバッグがまた、形といいモチーフといい、イースターっぽく祝祭的な輪廻転生(笑・真面目なキリスト教徒の方と仏教徒の方、すみません)を感じさせて楽しい感じ。