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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

「とてもその年齢には見えない」

と、いう言葉が、褒め言葉として使われることに、いつもかすかに不可解で理不尽な思いを感じる。もちろん、外見に関しては老いさらばえて見えるよりも、若々しく見える方が気色がいいのは確かなのだが、30代半ばで、そう対して老醜を晒しているわけではない年代で、「とてもそうは見えない」などと言われると、ふつふつっと不満げに心が波立つ。

「とてもその年齢には見えない」=20代くらいに見える、ということなのだろうが、わたしは20代からこういう顔だったのではなく、いろいろな物事に接し、感情の起伏に晒されて、今の顔になったのである。その、何年かのわたしの経験を根本からばっさりと、なかったことにされるような違和感を、「とてもその年齢には見えない」という褒め言葉に感じてしまう。だって、要するに年齢なりの貫禄が見えない、ということでしょう? 

考えすぎだろうか。しかしわたしは、幼少の頃からいわゆる「若い」時期にはずっと、今とは逆にとても老けて見られてきた。小学校5年のときに、幼稚園から通っていた美容院で、「大学、どこだっけ?」と言われ、中学生のころにはファッションビルで「今日はお仕事はお休みですか?」、四大を出て就職一年目には「ところであんた、子どもはいくつかね?」。

だから、見た目の外見でなにやら内面まで推し量られるような「とてもその年齢には見えない」に、わたしは根強い不信感がある。そこには、若く見られるということは、実際の年齢より軽んじてよい、と見なされるのでは、という不安も漂うのだ。