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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『28年目のハーフタイム (文春文庫)』

28年目のハーフタイム (文春文庫)
熱い本です。

通勤電車の中なのに、星飛雄馬のような粘度のある涙が、何度もこみあげてきます。

スポーツルポだからといっても、けっして、さわやかな涙ばかりではありません。むしろ、どうしてここまで来たのに、こんなことでチャンスを手放さなきゃいけないんだ、という、止められてしまった疾走の中で渦巻く、悔しさへの共感だったり、友情って貴重だけど、それだけじゃ役に立たない状況も、やっぱりあるよね、とか、そういういろんな味の涙。

でも、真の好敵手はエールを送り合うものなのね、という、涙もあったりして、
あ、自分にも、そういう熱血に共振する部分があるのね、と再発見したりして。

というのも、もしかしたら、加齢のせいで涙もろくなっているだけかも、と、さいきんの自分の涙を、いぶかしんでいたのですが、この本でこみあげる涙は、そういう肉体的神経的精神的緩みから来るものとはまったく、無関係です。質が、違う。