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カルティエ現代美術財団@東京都現代美術館

カルティエ現代美術財団コレクション展
あの、どの駅からも遠い東京都現代美術館に行ってまいりました。だって、「世界で初めての大規模なコレクション展」「主に注文制作の展示・収集をとおして、同財団は20年に亙り、日本をはじめ様々な国で活躍する作家をヨーロッパで紹介してきました。」*1なんて紹介してあったら、そそられるでしょ?

でもね、期待はずれでした。まず、カルティエ現代美術財団の蒐集係さん(キュレーターなんて呼んであげない)の、映像へのセンスのなさに、がっかり。趣味が悪い、とかじゃないんです。趣味が悪い、っていうほど、趣味が確立してないの。趣味が悪ければそれはそれで、いろいろと突っ込みどころがあって、別の面白さがあるわけだけど。これのどこが現代美術なんだよ、というフィルム(なにしろ、人類の空への進出の歴史だとか、狩人とシャーマンの日常生活を延々撮影してるフィルムが流されていたりするんですからね!)を立て続けに2本見てしまい、首を傾げまくりました。

フィルムでよかったのは、猫爆弾アニメ*2と、川内倫子*3の写真のスライドショーくらい。後者はついてる音楽も、作品と等価につりあう響き方で、とてつもなくよかったんだけど、誰が作ったものだったんだろう。気になる。川内さんの4/20付けのウェブ日記によると、「ピエールさん」という方なのだけど。

それに引き換え、写真作品は、とてもよいものがあり、どうしてこの趣味が映像の蒐集には結びつかないのか、と、ここでも首を傾げ。

そして、立体に関しては、なんだかガーリィというか、箱庭的というか、こまこましたものと、おぼっちゃまくんみたいな富豪の息子が夏休みの自由研究で、アイディアを金に糸目をつけず実現したら、みたいな野放図なものがとっても多い。

…なんだ、このとっちらかり具合。

つまり、コレクション全体を通底するなにか、あえて言うなら、思想が感じられないのです。こういうコレクションを作りたい、というビジョンが、見えない。とてもじゃないけど、かつてジャン・コクトーのオーダーで、三連リングを発明した企業のコレクションとは思えず。