2006-08-19 『楽園への疾走』 読闘 自分と同種のものしか認めないヴァギナ・デンタータによる、恐るべきディストピア。 それが、うなされそうなほどまざまざと描き尽くされます。SFというより、ホラー。しかし、なによりホラーなのは、これを翻訳で読んだひとはたいてい、サティアンを思い出してしまう、ということでしょう。年代によっては連合赤軍かもしれません。そう、つまりこの小説に描かれるディストピアは、ユートピアのように「どこにもない場所」ではなく、容易にこの地上に出現してしまうものなのです。