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『プライドと偏見』

プライドと偏見 [DVD]
英文科に進学した生徒ならば、英文学史その他で必ず読むことになるであろう『高慢と偏見』。そして読んでいるうちに、日本では江戸時代のころの物語なのに、やきもきさせられる『高慢と偏見』。いわばラブコメの元祖みたいなこの物語の、現時点での最新の映像化作品である映画『プライドと偏見』を見てみました。
長回しでエリザベスを追っているカメラが、途中で彼女から外れてベネット家の中へ、そして流れている音楽が妹の弾くピアノへとシンクロしていく。オープニングのこの場面から、映画らしさが味わえる画面構成にうっとり、建物や風景(特にさまざまな空模様!)のロケーションの素晴らしさにうっとり。
物語はかなりはしょっているところもあるとはいえ、2ch風に言うならば
ツンデレ同士な上「プライドと偏見」が邪魔して素直になれない主人公の毒男と毒女
だめんずな軍人さんにキモメンな聖職者
・30歳を前に結婚を焦ってる毒女な友人
・いい人なんだけど無教養でdqnな主人公の毒女の家族
・貴族の家系を重んずるあまりに毒トメな行動に走る主人公の毒男の叔母
などなどが入り乱れ、原作の皮肉っぽさとユーモアがしっかり生かされてます。しかしながら字幕の翻訳がところどころおかしいのが気になりました。まったく正反対の意味に訳している部分もあったり… 音声を日本語にして英語字幕で見たほうが良いかもしれません。
ともあれ、エリザベスの父親役のドナルド・サザーランドの中盤、キモメンとの結婚の危機にさらされる主人公への毅然とした態度と終幕の演技に、これが単なる恋愛映画ではなく、家族の物語であることを再認識。さらにエンディングのサザーランドの独り言演技には、お父さんっ子の娘や、娘を持つ父はぐっと来るのではないでしょうか。なので、DVDの特典映像に納められている、このあとに付け足されているアメリカ版エンディングはかなり興醒めです。
ところでジュディ・ディンチのキャサリン・ド・バーグ夫人を見て、山崎まどか長谷川町蔵の「キャンディ・キャンディついに映画化!」を思い出したのですが、考えてみれば、キャンディス・W・アードレーとアルバートさん、エルロイ大伯母様の関係は、エリザベスとダーシー卿、キャサリン・ド・バーグ夫人の関係と相似形でした。エリザベスは孤児じゃないけどね。