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種村季弘の眼 迷宮の美術家たち@板橋区立美術館

10月19日までの種村季弘展のために西高島平へ。駅前でなにか食べてから迷宮に挑もうと思ったのだけど、スリーマートなる謎のコンビニと、牛すじカレーのあるラーメン屋以外にとくにお店はないみたい。高い建物はなく空が広くて、倉庫と高架道路と住宅街の街で、いわゆる郊外の風景。駅から美術館までは、コンビニ2軒のほかは美術館のある公園前にラーメン屋(またしても)があるほかは、ずーっと住宅街。

さて、種村季弘展、展示はいろいろ面白いんだけど、一部、作品名が展示コーナーの入り口にまとめて掲示してあるだけのところがあって、それはちょっと……。そのこと以外は見応えありました。特に立体作品がいろいろあるのが愉しい! 土井典のすてきな女体型の函、いくつかの小さいのから大きいのまで揃った覗きめがね、澁澤龍彦の『犬狼都市』を彷彿とさせる彫像などなど。

さらに単行本版『贋物漫遊記』の表紙画家の最近の大きな作品もあって、満足! しかもそのうち1枚の個人蔵「バオバブが生えたかぼちゃの方舟」は初公開なのだとか。で、ふと思ったけどこの画家さん、『贋物漫遊記』のころは今のお名前じゃなかったような? と思ったら、やはりあの頃は戸籍名でいらしたようで。今回の板橋区立美術館に、こちらのリンク先で見られるモノレールの描かれた大作も来ています。

犬狼都市 (1968年)贋物漫遊記 (ちくま文庫)SIMONDOLL―四谷シモン

ほかに、こないだ横浜での四谷シモン展で見た最新のシモン人形や、初公開だという若いころの女装四谷シモンの面影のある1970年代の「未来と過去のイヴ」シリーズと思われる一体もあり。そして最後のコーナーでは種村季弘への澁澤龍彦のはがきなどに、この人たち、ほんとに仲良かったんだなあと大いにニヤニヤしました。

帰りは駅近くの文明堂工場売店で、抹茶カステラ切り落としなどを買って、三田線の線路の空中で終わってるのを確認した上で、西高島平から目黒までの三田線全線を52分かけて乗車してきました。目黒駅から地上に出たら、あの森の中の美術館はなんだったのか、という都会の空で、それもまた贋物を愛した種村季弘展らしいあとあじでした。