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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『スコット&ゼルダ』@天王洲銀河劇場

表現者は抉られるところの多いだろうテーマ。「あなたの書くべきもの、書きたいものはゴシップとスキャンダルでしょ」(うろおぼえ)とインタビュアーに言うゼルダのセリフは、その後にイエス・キリストイスカリオテのユダへのあの言葉「あなたがしようとしていることを、今すぐしなさい」(ヨハネ13:27)が続いていそうな緊迫感に溢れていました。

まあ、題材がフィッツジェラルド夫妻なので、そういう話なんだろうなー、とは思ってはいましたが、スコットみたいな才能も、ゼルダみたいな才能も、つまり、平穏な生活と引き換えざるを得ないような物凄い才能は、自分にはなくてよかったとしみじみ思える! 自分にとっては創作は生業じゃなく、趣味に限るなと、あらためて思いました。

たいして覚悟も才能もないのに、「有名になりたーい」「作家になりたーい」っていう人を考え直させるために見せるのによさそう、なんてことも考えたり。

ところで今日のミュージカルは、歌わないセリフ部分も多かったからか、むずがゆさはありませんでした。これが離婚話を巡るあれこれを歌い上げられたりしてたら、ダメだったろうな。あと、舞台美術とその一部であるジャズの生演奏が素敵でした。

そして英米文学の徒だった身としては、『夜はやさし』の作者自身による改稿前の初期バージョンを読みたくなります。いつか、研究者によってその真の姿が解明されたらなあ。

夜はやさし(上) (角川文庫)夜はやさし(下) (角川文庫)