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ニコライ・ホジャイノフ ピアノ・リサイタル@浜離宮朝日ホール

今日は楽しみにしていたニコライ・ホジャイノフ氏のピアノを聴く日、だったのだが、結果的にYAMAHAのCFXという楽器の酷さを体感する日になってしまった。

ホジャイノフ氏には罪はない。というか、あんな酷いコンディションの楽器でよくあそこまで弾いてくれたと思う。

どう酷いのかというと、まず低音。一音ごとの輪郭がはっきりせず、一度スライスした羊羹をそのまま置いといたら、またくっついてしまったかのようなねっとり感。曲が進むにつれて、ホジャイノフ氏がそのテクニックでまた一切れずつ、一音ずつに切り出して弾いている状態になってくる。つらそう。

そして高音。こっちは低音よりさらに酷い。キラキラと煌びやかなのではなく、キンキン+ちゃらちゃら=キャラキャラと耳触りな音ばかり。スタンウェイなどが水晶や手作りガラスだとすれば、YAMAHAのCFXはアクリル、それも安いやつ。高音部が近づくとヒヤヒヤして、はっきり言って健康に悪い。

さすがに第一部が終わった休憩中に調律師が出てきてちょっとだけいじり、第二部ではちょっとだけマシにはなったけど、第二部では低音がべちゃメシ、高音がカピカピの乾飯みたいと、材質は揃ったけど、やはり一定の質とは言い難い。そこをホジャイノフ氏のテクニックでむりやり均しておにぎりの形にしていく、という感じ。

そんなこんなでアンコール一曲目は、「俺は用意してたプログラム以外でも、こんな楽器でもここまで弾けるんだ!」というような『ホジャイノフ、怒りのアンコール』みたいになってた。いやー、お疲れ様でした。あんなピアノ、プロに弾かせちゃダメだ。いや、プロじゃなくてもセンスがおかしくなっちゃうから弾かせちゃダメだと思う。

ちなみにホジャイノフ氏を知ったのは↑この動画。古今和歌集などどこで知ったのか、これは解釈力にすぐれたピアニストなのではないかと期待しての鑑賞でした。