『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』＠ル・シネマ

やけに粗い映像や頻出するピンボケはあるものの、全編緊張感にあふれたドキュメンタリー。冒頭のエトワール時代のすでに大ベテランと思われるアニエス・ルテステュのジゼルの練習風景からして、驚かされる。エトワールでベテランでも、こんな基本的なことを事細かにチェックされるのか！ と。たとえば、足の裏をしっかり床に押し付けて、とかそのレベルからなのだ。

オペラ座と題しつつ、マチュー・ガニオのマリンスキー出張からの流れからか、練習時点で完璧なロパートキナさまの『愛の伝説』が見られたのはうれしい。それにしてもガニオはほんと少女マンガの王子様の顔よね〜。そしてそのガニオのレッスンでのギレーヌ・テスマーのチェックの精確さに震える！ 「え、今のどこに問題が？」と観ている素人なわたしが思っていても、あるいは「なにか完璧じゃないけどそれがどこか言えない」と思っていても、テスマーに言われてみれば納得、そしてそのチェックを反映したガニオの動きが確かに良くなっている！ こういう細かな細かな積み重ねから、あの夢のように美しい世界ができているのですね。

ただ、せっかくの貴重な映像、三脚立てるか手ぶれ防止機能付きカメラ付きで撮ってほしかった！