読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

マスクとファンデーション

マスクを洗って使っている。洗えるウレタンマスクが届くのが十日以上あとなのだが、不織布マスクの在庫の底が見えて来たので、不織布マスクも洗って乾かしてから外側にアルコールを噴霧して再利用しているのである。

ところで灰色の洗えるウレタンマスクと違い、不織布マスクはファンデーションの汚れが内側に付いて、洗っても取り切れない。

そこでふと考えた。どうせほとんどマスクしてるんだから、ファンデーション塗らなくてもよくない? 眉描くだけでいいのでは? というわけで、さっそくそのようにしてみたのだが……。

 

あ か ん か っ た 。

 

突然、関西弁になるくらい、あかんかった。自分の肌から湧き出る皮脂が時間とともに酸化しているのだろう、顔の肌のあちこちが痒い。マスクが接しているところはまだしも、おでこやこめかみだとかが痒いのだ。そんなわけで、自分が脂性であることを久々に思い知った。

っていうか、ファンデーションって働き者だったのね。ファンデーションの機能説明の「ファンデーションが皮膚から湧き出る皮脂で浮いてしまうのが化粧崩れ。ファンデーションに含まれるパウダーが、皮脂を抱え込んで化粧崩れしないよう固めてくれます」とか、塗っててもあぶらとり紙は必要なので、今まであんまり真剣に読んでなかったけど、こんな痒みはそういえばファンデーション塗ってるときは自覚がなかったな。ありがとう、ファンデーション! ちなみにほんと脂性なので、真冬以外はほとんど夏用のこれを塗ってる。

www.orbis.co.jp

こないだ冬用のリキッドファンデとそのおまけにつけてもらったさらさら下地の組み合わせもなかなかよかった。リキッドファンデ単体だとやや崩れるけど、まあ素顔のときのように痒くはならない。

www.orbis.co.jp

www.orbis.co.jp

ところでわたしは、化粧水もファンデーションも眉墨もネイルカラーもオルビスの通販でまかなっているのですが、それは、メイクなんて顔色悪く見えなきゃいいでしょ? くらいの考えだからです。ちゃんとメイクするのも、それをちゃんと落とすのもめんどくさいし。

なので、別人のようにメイクしていく動画が流行ったときは名人芸だなぁ、と感心しながらよく見てました。

なお、結婚式の時にプロのメイクさんの技で、これ⤵︎が

f:id:Mmc:20200403024652j:image

こう⤵︎なったのは、さすがプロ! 凄い! と思った覚えがあります。

f:id:Mmc:20200403024816j:image

 

春の憂鬱

花粉症持ちなので、例年、春は憂鬱なのだが、今年は新型コロナでいろいろと生活にめんどくささも加わり、憂鬱度が分度器で30~50度ほど上がっている。

花粉症のほかに喘息持ちで嗅覚障害もあり、膵臓と腎臓の機能が弱めで、ちゃんとした食生活をしていないとうっかり貧血になってしまう、という事情もあり、新型コロナに罹患すると重症化しそうだな、というのもある。一時期はその恐怖からか、夜中に不安発作で飛び起きたりもしていた。

そんな虚弱な身としては、かかりつけ医というのは非常に重要である。今日は花粉症の薬の追加をもらいに、夫婦でお世話になっているかかりつけ医に行った。このお医者さんは声楽家を多数、患者に持ち、自身もオペラ歌唱を習っていて、バレエもお好き。先日のパリ・オペラ座公演の感想を聞かれた。そして、

先生「時期的にギリギリでしたよね。キャンセルになってたらNBS(招聘団体)つぶれてたでしょう」

わたし「でしょうねえ」

先生「間に合ってよかった。赤字にはなってるかもだけど」

などと話していると、先生が言った。

「いやあ、楽団員、大変だなあとか、うちのクリニックの近所の食べ物屋さん、大変だなあとか思ってたら、自分が危なくなってきちゃった」

あわわ、思いがけないかたちで局地的医療崩壊が……。

でも、それはそうですよね。だって、声楽家たちは一様にお休み中で、感染の危険を考えたら、先生にかかりにくる理由もない。でもこちらとしては先生の廃業は困ります。しかし、食べ物屋さんとかと違って、何度も訪問してお金を落とせるわけでもなし、先生が廃業を決めたらどうしようもないのかな……。あー、憂鬱。

f:id:Mmc:20200401020756j:image

さいきんの日記

◆鵜飼いとフォアグラ

鵜飼いの話になった。‬

わたし「鵜飼いってほんとひどいよね、鵜の上前を…」‬

夫の人「上前どころか!」‬

わたし「えー、仕事上がりにはもらえてるんじゃないの、鮎」‬

夫の人「鮎だといいね……」‬

わたし「鵜『この混合餌相変わらず不味いなー。生きた魚食いてぇな』とか?」‬

夫の人「そうそう」‬

わたし「フォアグラ反対派は‬鵜飼いには反対しないのかな」

夫の人「鵜飼いをまだ知らないんじゃない?」

鵜飼い、知ったらやっぱりフォアグラ反対派は反対するのだろうか。鵜飼い、方法としてはフォアグラの逆だけど。

mainichi.jp

 

◆5Gの恐怖

二つほど、5Gと新型コロナウイルスを関連付けているトンデモ科学なブログを見かけました。新型コロナウイルス流行地は開発に中国から人員が大量に入ってるのが理由、とかいう人種差別を狙ったデマかと思いきや……。いちいちリンクは張りませんが、こういう「電子レンジで調理したものを食べていると癌になる」的な言説って何周目でしょうね。科学教育の失敗をひしひしと感じます。

なお、5Gの実際的に怖い点は、人の監視がこれまでよりずっと簡単にコストをかけずにできるようになること。そしてその技術を中国が世界中に提供していること。また、この技術を中国が提供しているということの恐ろしさからの抵抗を、国単位ではアメリカと日本くらいしか示していないこと。

5Gのネットワークで世界が覆われると、中国にとって不都合な人物の動向を、中国はいつでも把握することができるようになるんです。こういうニュースを目にしたことがあると思うけど、これはそういうことです。

www.yomiuri.co.jp

アメリカは安全保障上の観点から、5Gと相性のいいファーウェイの携帯端末を浸透させたくない。そしてアメリカは日本にもそれを求めているということなのです。
 f:id:Mmc:20200326015154j:image

 

Netflix『愛の不時着』にはまった

貧血気味&喘息持ちの花粉症患者としては、新型コロナウイルス接触する機会をなるべく減らすべく、バレエのレッスンにも行かず(血涙)、休みとなると近所にちょっとお買い物に行って、帰宅してきて積読本の消化をしています。

が、設定があまりに面白そう、というか荒唐無稽で興味深く、一話めを見てしまったらすっかりはまってしまったのが、Netflixの『愛の不時着』。韓国ドラマどころか、そもそもドラマをほとんど見ないのに! でもこの設定にはそそられます。

www.netflix.com

某月某日

本来はここまでの話だったのでは? という半分くらいまでの話数まで見た。ネタバレにならなそうな感想メモ。
・メインカップル男子が髪型その他がボトムズのキリコを思わせる
・北の軍隊描写を見ていると、人民解放軍チベット人ウイグル人にしていることが思い起こされて心が冷える
・ヒロインが若い頃の中島みゆきに見えてくる

悪女

悪女

  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

某月某日

十話。独裁政治下のつらい話で泣き、鬼上司のヒロインの生還に恐怖で蕁麻疹を発生させながらも泣いて喜ぶ部下のおっさん(『エロイカより愛を込めて』のエーベルバッハ少佐の部下Bを彷彿とさせるキャラ)にもらい泣き。そしておじさんはどこでも指を舐めて書類をめくるのね……。

エロイカより愛をこめて35周年メモリアルブック

エロイカより愛をこめて35周年メモリアルブック

  • 作者:青池 保子
  • 発売日: 2012/09/14
  • メディア: コミック
 

 

某月某日

十一話。北朝鮮が舞台のときは周りに人があまりいないシーンが多かったから感じなかったけど、韓国が舞台になってからは、男性主人公がハンサム&高身長すぎで、ソウルの街中にいると美しすぎて浮く! ハンサムすぎることが脚本にもきっちり取り入れられているのがまた可笑しい。ああいうハンサムと付き合いたい、というより、ああいうハンサムになりたい!と思う。ただ、北の特殊部隊服、かっこよすぎじゃない?

www.zakzak.co.jp

某月某日

Netflix『愛の不時着』十二話。ダメ! 絶対! 独裁政権! でも隣組で見張り合うはずの主婦たちの人情に今日も泣かされた。一話一話が一時間半近くと長いのと喜怒哀楽そしてお笑いを詰め込んだ脚本が上手いので、ここまで見てくるとレギュラーメンバーはもう、よく見かける近所の人や、同じフロアの同僚くらいに思えてくる。

そしてネットゲームやSNSでの自己承認欲求って、ほんとに恐ろしいなと他人ごととしてドラマで魅せられて再認識。

 

某月某日

Netflixの『愛の不時着』見終わった。2時間近くある最終回はかなり泣いた。全体通して特に、おっかねぇおばちゃん達の「連帯」と、男性主人公の「顔天才」なハンサムっぷりにやられた感がある。好みというわけではないのだが、あまりに美しすぎ、完成度高いお顔すぎて! それもシリアスなシーンにもちょいちょいお笑いをぶっ込んでくる脚本の上手さあってこそだけど。

ただこのドラマ、わたしにとって一番の謎は、サブヒロインのソ・ダンの叔父さん。よくあれで出世もして生き残ってられるな……。‬

 

www.youtube.com

ただ、やはり北朝鮮の特権階級と、韓国のセレブだから成り立つストーリーなので、北朝鮮の特権階級じゃない人々や、日本だけでなく世界各地から拉致された人々のことがちらちらと気になってしまって、複雑な気持ちもあります。

あと、日本語タイトルが昭和歌謡みたいで、ひとに勧める時に口にするの、ちょっとためらう。

パリ・オペラ座バレエ団2020日本公演追記

先日、「ああ、今頃オネーギンの、そして今回の引っ越し公演の千穐楽……」などと思いながら調べ物をしていて、鑑賞記に漏れがあったな、と思い出したので、追記。

 

◆『ジゼル』

パトリス・バール版の、ジゼルの父が誰であるかを示唆する目配せのある舞台でした。『オネーギン』のオリガ、タチヤーナ姉妹の母も服装に似合わず若いけど、ジゼルの母ベルタも仕草もオペラグラスで見たお顔も若かったなあ。

www.nbs.or.jp

 

◆『オネーギン』

始まってすぐ、あくまでも読書を続けるタチヤーナの前で、彼女の妹オリガと隣近所の少女たちが踊るシーン。オペラグラスでタチヤーナを見ていると、かなり冷た~い視線で踊る少女たちを見た後、本に目を戻すのを見て、なるほどこういうところがオネーギンに惹かれる理由なのかな、と思ったり。

タチヤーナは少女仲間内では、陽キャなオリガの仲立ちで、変わり者だけど仲間外れにされていないのかな、なんてことも考えたり。

 

◆パンフレット

あのですね、画像の解像度に異様にばらつきがありましてですね、ちょっと落ち着かない気分にさせられました。美しいものと、1980~90年代ごろの旧共産圏のお土産の絵葉書を思い出すようなザラザラ感のあるものが一冊のなかで共存しているのです。

f:id:Mmc:20200311005851j:image

表紙はちょっとフォトショップっぽい。それでもぱりっと綺麗にしようということなのだろうな、と開くと、オペラ座のバルコニー席写真。彫刻の隅々まで綺麗です。

が、その次、今回の日本公演のスケジュールが載っている見開きの、オペラ座名物の階段を臨む写真の解像度がいきなり低い。


f:id:Mmc:20200311005920j:image

f:id:Mmc:20200311005925j:image


その後のオペラ座の由来と現在を紹介する見開きの、バルコニー席から舞台を臨む写真は美しいです。よかった。

f:id:Mmc:20200311005941j:image

 

ところが、『ジゼル』という作品の成立を解説する中で、初演バレリーナのおそらく油絵と思われる絵の解像度が、またがっくりと落ちており、こちらのテンションもがっくりです。


f:id:Mmc:20200311010014j:image

f:id:Mmc:20200311010017j:image

 

うーむ、一冊のパンフレットの中でどうしてこういう不統一が起こるのだろう、オペラ座での資料のレファレンスはどうなっているのだろう、いろいろ考えてしまいます。

シレジアを探せ

ふと思ったのです。シレジアって、どこだろう。バレエ『ジゼル』のあらすじには、こうあります。

ぶどう栽培を営む村。母親とともに暮らす娘ジゼルは、ある若者──じつはシレジア公爵アルブレヒトと恋に落ちている。(パリ・オペラ座バレエ団『ジゼル』あらすじより)

では、アルブレヒトが公爵位を持つシレジアは、ジゼルの住む村とどんな位置関係にあるのでしょう。

 

◆ぶどう栽培を営む村・ラインラント 

 まず「ぶどう栽培を営む村」は、

 ・中世ドイツの農村*1

 ・ラインラント*2

ということですが、ラインラントは現在のドイツ西部、ライン河沿岸地帯でドイツワインの中心的産地。ドイツ統一以前はプロイセン領で、歴史上、何度もフランスとドイツの紛争の的となった、なかなか物騒な歴史を持つ地域です。

ラインラントは現在はフランスに属するアルザス・ロレーヌ地方に接しています。余談ですが、アルザス・ロレーヌ地方といえば、思い起こされるのは『最後の授業』。

最後の授業 (ポプラポケット文庫)

最後の授業 (ポプラポケット文庫)

 

大人になって、17世紀から20世紀まで、この地方がドイツとフランスの間で何度も奪取し、奪取されたりした結果、現在はフランス領である経緯を知ってからは、「あの作品で感動した時間を返して」と思ったものです。

www.cc.matsuyama-u.ac.jp 

www.youtube.com

 

◆シレジア王国とラインラントの地理関係

ではシレジアは? こちらは、

ズデーテン地方と呼ばれていた現在のチェコ北部からポーランド南部にかけての辺り、「シレジア」の名で親しまれたポーランド西南部*3

とあり、地図を探してみたところ、このような位置にあったようです。

ラインラントがドイツの西なのに対し、シレジアはドイツの東。中世ならばいくつもの領地をまたぐ関係だったと思われます。共通するのは両地とも国境ぎわにあって、常に大国の領有権に左右されてきたこと。

また、ラインラントが一地方の州であったのに対し、シレジアは王国でした。

プロシアは行政的には属州にあたるが、南のシレジアはドイツ人を主体に成立した誇り高い王国だった。その地の人々にとって首都ブレスラウは栄光の都であり、マーラーはひところ、ブレスラウ歌劇場の指揮者だった。トーマス・マンは『ヴェニスに死す』の主人公を紹介するのに、わざわざ母親が「ブレスラウ宮廷の女官」だったと書いている。*4

www.youtube.com

となると、『ジゼル』での シレジア公爵アルブレヒトは、自身のドイツの東の領地から、ドイツの西のラインラントに遊びに来ていたということでしょうか。

 

◆シレジア公爵とクールランド大公の姫の権力関係

ところでアルブレヒトの婚約者・バティルド姫はクールランド大公の娘とされていますね。このクールランドのモデルはクールラント・ゼムガレン公国ことクールラント公国なのではないでしょうか。そうだとすると、クールランド大公の国は、現在はポーランドであるところのバルト海沿岸の地ということになります。

こちらはロシア、ポーランド、東プロシアのはざまで揺れ動きますが、一時期はポーランド王の保護のもとにドイツ人がクールラント公国を建てています。つまり、地理的にはシレジアに近いのです。

……なるほど、つまりアルブレヒトは自分や婚約者の領地から離れて、ラインラントでの「ひと夏のバカンス」にジゼルを巻き込んで楽しむつもりが、秋の収穫期になっても当地を離れられず、故意か偶然か*5、秋の狩猟旅行で同じラインラントを選んだクールランド大公一行とバッティングしてしまった、ということでしょうか。

そして、大公の娘は姫ですが、シレジア公爵はおそらくシレジア王国の継承権のある王子ではなく、もしくは王位継承権第一位の座にはなく、この結婚はアルブレヒトにとって、いわゆる逆玉の輿だったのではないでしょうか。

そうではなく、王子と王女同士の結婚ならば、ジゼルとのことが露見した際に、ご主人様に叱られて尻尾を股の間に挟む犬のような具合ではなく、もう少し強気な態度であってもいいのでは、と思うのです。

しかし、そのシレジアもクールラントも、現実では第二次大戦や第一次大戦を経て王国としての姿を失っていることを思うと、ウィリたちの踊りの儚い美しさのイメージとともに、まったく諸行無常だなあ、と思うのです。

ヨーロッパの人たちはそういう歴史的経緯込みでこのバレエを見ているのでしょうか。それはまた儚さに拍車がかかりそうです。ああ、それにしてもまた、何の役にも立たない妄想をしてしまった……。

 

www.youtube.com

www.chikumashobo.co.jp

www.msz.co.jp

消えた国 追われた人々 (ちくま文庫)

消えた国 追われた人々 (ちくま文庫)

  • 作者:紀, 池内
  • 発売日: 2019/12/10
  • メディア: 文庫
 

パリ・オペラ座バレエ団『オネーギン』@東京文化会館

先週の厳重な体制に加え、「舞台の出演者に対するブラボーなどのご声援は、飛沫感染防止のため必ずマスクをご着用のうえでお願い申し上げます。」などの注意事項が加わっての公演。

www.nbs.or.jp

マチュー・ガニオのオネーギン回と迷って、ユーゴ・マルシャンのオネーギンとドロテ・ジルベールのタチヤーナ回にしてよかった。ユーゴの冷淡演技と情けなさ演技のコントラストと、終幕のドロテのど迫力に満足! 最初のカーテンコールでは二人ともほんとにたった今、断腸の別れをして、そのショックから抜けてないような虚脱の表情が凄かった。

www.instagram.com

ドロテは前半の少女時代は可憐、後半の公爵夫人となってからはあでやかで、姉の婚約者の死を乗り越えて成長せざるを得なかった時間を感じさせます。

その公爵夫人とオネーギンが再会する後半の舞踏会では、ユーゴの身長の高さが余計に情けないオロオロぶりを引き出してた気がする。前半では上背の高さは自信満々に見えたのが、後半では口髭を蓄えてはいるけども、年齢なりの貫禄がついていない薄い感じがして……。背の高さって、こういうふうにも作用するのか、いやユーゴが左右させてるのか! と新鮮な驚き。

www.instagram.com

ちなみにグレーミン公爵役が先週、ジゼルを見たときのヒラリオン役だったけど、最初からカッコよすぎで、話が違う〜w と思う。オドリック・ベザールはこういう、主役カップルの障害になるような脇役に似つかわしくないハンサムさん。
なお生オケはジゼルのときと違ってかなりボロボロで……。開演前の音合わせで外れてたので、ダメだろうな、とは思ったけど、予想通り。ジゼルのときもよかったわけじゃないけど、今日みたいにぱふぉ、とかフュ、とか頻繁に音が外れてはいなかったからなあ。

www.youtube.com

……ところで、結局シュツットガルトでもパリオペでも、オネーギンが来た時にマチュ―・ガニオのオネーギン回を逃して別の贔屓のオネーギン回を見ているんですけども、マチュ―のオネーギンって、前回書いたのとはまた別の妄想が膨らみそうで避けてしまうのかも。

mmc.hateblo.jp

いろいろな方のマチュ―回の感想を読んでいて気づいたのですが、マチュ―が演じるオネーギンって、厭世的すぎて投げやりになって親友を決闘で亡くすにいたる、というのではなくて、サイコパス的にあの優雅な微笑みのうちに周囲を壊していくのでは、と妄想してしまうんですよね。

なんなら、見たあとで記憶が書き換わって、マチュ―オネーギンがあの優しげな笑顔で少女タチヤーナの恋文を破って返すとかしていたことになってしまいそう。ああ、やっぱりあまりにも美しい人は、ストーリーを歪ませるのだな……。いや、そんなのわたしだけでしょうけども。もっとこう、レンスキーとオネーギン、どっちが受けか攻めか、とか平和なBL妄想がしたい。

ストーリーが歪むほどの美

ありえないけど、仕事がなくてお金はある、という状況なら、パリオペ全日通ってるんだろうなあ。だってやっぱりマチュー・ガニオのアルブレヒト、見たいじゃないですか! ただオネーギンは……、なんというかマチューが美しすぎてストーリーが変質してしまう気がするんですよね。考えすぎ?妄想しすぎ?

www.youtube.com

 

ちなみにもともとオネーギンとレンスキーはBL妄想しがいのある関係性なんですが、マチューがオネーギンだと考えるとすごく妄想が捗るんですよね。「このオネーギン、美しすぎるし、みんなが参っても仕方ないよね! 当然、レンスキーもだよね! レンスキーはオネーギンが交際相手や結婚相手を見つける前に、自分が殺すか殺される方がましって思って決闘まで持ってったんだよね?」って。

www.youtube.com

白鳥の湖』の王子だと、手塩にかけて育てた家庭教師が「あんなぽっと出の小娘には渡せない!」って、白鳥との仲を裂く話だよねって思うし。思いませんか? この動画なんて、最後のほうで家庭教師にお姫様だっこ的なことまでされてますし……。

www.youtube.com

 

見たことないけど『海賊』にマチュ―が出ていたら、「この海賊は実は小さい頃貴族に捨てられてて、このバレエは貴種流離譚の一場面なのでは?」とか妄想してしまいそう。こちらの動画はいろんなダンサーの『海賊』のアリ。

www.youtube.com

 

逆にぴったりだな、と思うのは『ラ・シルフィード』。美しい妖精でさえちょっかい出したくなる美しきマチュ―! 自分の美しさが自身を破滅に追いやってしまう、ファム・ファタルと自分を一人二役でやってる感があります。

www.youtube.com

『マノン』も、原作では一人、生き残った男性主人公デ・グリューが、親友が美しい友情のもと、迎えに来て終わるのですよね。しかもマノンと違って家柄もいいし、後ろ盾もあるので、フランスに帰ってもすぐ元の人生に戻れるわけで、「あれ? これって破滅してるのマノン兄妹や流刑地の行政官とか周りの人で、デ・グリューはさして深手を負ってないんじゃ? むしろマノンがファム・ファタルって言われてるけど、実はデ・グリューが魔性様?」と考えると、ストーリーを歪ませるほどの妄想を掻き立てる美貌のマチュ―に、実にふさわしい役柄だな、と思えてくるのです。

www.youtube.com

www.youtube.com

そういえば破滅する美青年としては、『失われた時を求めて』に材を採った『モレルとサン・ルーで、悪い男モレルに誘惑されるサン・ルーを演じていましたね。ふふふ……。

www.youtube.com