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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

たとえ両思いでも

少佐とバトーは会えない状況、ではあるのかもしれない。そんなことを、これで映画館で観るのは最後にしようと、またアイマックスに観に行った昨日、思った。

フリスクさんとこにも書いたけど、少佐は政府から血眼で捜されている失踪者=お尋ね者なわけだから、完全にスタンドアロンになったプラント船だとか、キムのプログラムであるコンビニやオルゴール館とかの隔離された場所でしか降りて来られない事情もあるんだろうし。

そう考えるとラストの、ガブリエルの片手を持ってバイバイさせる茶目っ気が、バトーに戻ったわけもわかる。

でもそれとは別に、今度はバトー自体が「にせもの」であってもおかしくないんだよな、というPKD的な疑惑(ていうか妄想)がしつこくわきあがってくる。

PKDの『にせもの』で、にせものが自分自身を、にせもの疑いを持たれているオリジナルと認識していたように、バトーも公安9課のための戦闘プログラムを搭載したロボットで、ジャングルでの経験やらなにやらは、あとからそれらしく埋め込まれた記憶なんじゃないか、とか。

そして、PKDの「にせもの」がオリジナルである証明を手に入れようとするのに似て、人間特有のゴーストでつながっている昔の仲間が助けに来る、という自作自演を、ハードディスク分割で行ったんじゃないか、とか。

そしてそして、じつは荒巻と少佐はそんなバトーを実験&監視し続けているんじゃないか。TV版で少佐がゴーストの芽生えたタチコマを観察したり、ラボで解析していたように。

ともかくも、そんなふうに妄想を引き出させる力が、前作を含め、この世界にはある。