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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

気分の問題

お休みの日に、だらだらと過ごしていてひるごはんを採り逃し、そのまま夕餉の買い物に出ると、つい寄ってしまう喫茶店がある。店、というより喫茶コーナーと言ったほうがいい、買い物客でざわめく地下のささやかな一角だ。
そこのクオリティとサービスの一定性は驚くべき平らかさで、こちらの慌ただしい心持ちもクールダウンしてくれるような気がするのがリピーターの理由。そこに行きさえすれば、同じ気分になれる、というのは喫茶店に限らず再訪の理由の多くを占めると思うけれど、長期間その気持ちに応えてくれる場所は、手軽なところにはあまりない。そういう意味で、ここは貴重な空間だ。
そこでわたしが頼むものもほぼいつも同じ。抹茶エスプレッソと呼びたいほどに濃い、甘くない抹茶ミルクか、サンドイッチの具の一つであるオムレツの出来栄えがパーフェクトなアフタヌーン・ティーセットのどちらか。
今回はセットのケーキがいちごのチーズケーキが選べると聞いて後者を頼んだ。それから気付いたのだが、喫茶コーナーが製菓コーナーに併設されているせいか、いちごの香りが馥郁と漂っている。いつもと同じ、控えめながら万全なサービスにおまけがついたようで、なんだか得した気分。喩えて言えば鰻重にさらにたれを回しかけて食べるときのような。