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[踊素][乙女]Bitches Brew / Tacoma Narrows

開演時間になって。まだ客電が明るいあいだ、ステージでは壁の向こうで、DJプレイに乗って踊る脚だけが見えているチラリズム。とりわけ、白いサテンのパンツの巧者ぶりに惹き付けられる。「the sexy mother fucker」なんてプリンスなんかもかかってこちらのダンス細胞を刺激、「これこのまま2時間だったらある意味拷問だね」なんて囁き合う。

もちろん「そのまま」なんてことはなく、そして、とても驚かされる2時間で。

以前、見たときや、DVD『Rosas danst Rosas』などに記録されてるローザス*1は、その緊張と痙攣、そして弛緩の連続と不連続のリズムが、ムンクの『思春期』、クロソウスキーの不自然に硬直した少女たち、高野文子の乙女(特に『グリーン・レクイエム』の装画の)を思い出させる、硬くて丸い隙のない球体のごときものだったけれど、今回は。

いろいろな太さ細さの緑の枝や花咲く草を編んで作ったセパタクローの球のように開いた穴の産む不均一さが、魅力的でもあり、気を逸らせる断絶をも抱え。

とても楽しんだけれど、でも、Tacoma Narrowsの部分が、モチーフも含め、あの痙攣的な表現との方が親和性が高い気がしたというのもあり、買って帰った『FASE』を見て、今回の展開はローザスにとって傍流だと思いたい自分もいる。

気になったのは、客電点いてからのDJプレイはいつまで続いたのか、ってこと。空いてる後ろの席で見てたらよかったな。あれは、クラブで夜明かししたときそのものの空気感で、だから、外に出てまだ明るかったのがすごい違和感だった。