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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

複製技術時代の知性

休み中にスペシャを流しっぱなしにして掃除してたら、10年以上前のユーミンのヒットナンバーにそっくりの曲が流れて、カバーかと思ったらどうやら違う。
「現代のクリエイティブはいずれなにかのコピーかサンプリング」って話は、ベンヤミンを持ち出すまでもなく、さんざん繰り返されていることだけど、だからこそ、自分の「思いつき」がすでに過去に実現されていないか、をリサーチする知性が表現者に要求される。
それが欠如している“アーティスト”を見ると、その表現方法の知性のなさに「萎え〜(こういうのこそ事々しく取り上げられはしないけど、複製技術芸術時代の読み人知らずなエスプリの発露だと思う)」、そして人形使いのセリフ*1になぞらえて、「民衆は芸術を貴族階級から『開放』したときに、その結果をもっとよく考えるべきだった」とか嘯いたり。

*1:「コンピュータの普及が記憶の外部化を可能にした時、あなたたちはその意味をもっと真剣に考えるべきだった」『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』、1995年、押井守