読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

福岡アジア美術館のアジアギャラリー

福岡アジア美術館*1のコレクション作品が展示されている「アジアギャラリー」*2がすごい。

 

www.facebook.com

 

政治的な権利とか、民族としての自己を失わないためとか、今現在いろいろなことのために闘っているアジアの国の作家の作品が多いためか、作品からの「圧」がすごい。たとえば西洋古典絵画の展覧会に行くと、わたしは教科書に載っている有名な作品以外に魅力的な、できれば強い「圧」を感じる作品に出会いたいと思うのだが、それはそんなに叶えられる望みでもない。

だがこのアジアギャラリーに展示されている作品は、ほとんどどの作品もかなりな「圧」があり、じつのところ、友人夫妻と待ち合わせるまでの小一時間の時間つぶしと考えていた目論見は完全にひっくり返された。あと30分か、理想的には滞在時間2時間近くは必要だと思う。

展示作品にはギリシャ悲劇の王女メディアと自分の境涯を重ね合わせた連作もあった。ただ、ついている説明板に「女王メディア」「メデイア」と誤記と表記揺れがあったのは残念。絵の横に座っていた係員の方に注進したところ、学芸員さんに伝えてくれるそうなので、次回直っているかも見に行きたい。

 

王女メディア

王女メディア

 

 

ところでこの件で係員の方に「ギリシャ悲劇にお詳しいんですか?」と聞かれたのだが、メディアが女王ではなく王女であることは、美術館の係員さん的には基礎的な教養だと思っていたので、美術館の係員の方がそれを知らないということに、ちょっと残念な気持ちになった。

 


マリア・カラス 映画「王女メディア」 英語版 Maria Callas 「 Medea 」 (movie, English version)


さて、美術館サイトの「コレクション」のページで、なにも入力せずに「所蔵品検索はこちら」をクリックすると、2500点近い作品が表示される。あるいは「バングラデシュ」とか「ミャンマー」「ブルネイ」など、どんな美術作品があるのか見当のつかないアジアの国名を「国・地域」のプルダウンから選んでみてもおもしろい。
そのなかの「種別」を「絵画」に、「国・地域」で「中国」を選んだ作品の先頭に、アイ・シュアン(艾軒)という作家の「瑞雪 Beautiful Snowscape」というチベット人を描いた絵を見つけた。季節柄、冬に展示されるのだろうか。これもいつかぜひ見たい。

f:id:Mmc:20180407125506p:image

 

なお「中国」作品には反骨のアーティスト、アイ・ウェイウェイ艾未未)の作品も含まれているが、写真がないので展示されるのを待って見るしかない。


映画『アイ・ウェイウェイは謝らない』予告編



絵画だけでなく立体作品もけっこうある。そのなかでもアニッシュ・カプーアなる作家の「虚ろなる母」という巨大な青いオブジェ*3はすごかった。一対一で作品と対峙するという体験を上書きされた。

アジアギャラリーから出て、ロビーの明るい窓際に歩いていくと、ミュージアムカフェのあるキッズコーナーの片隅に、大量の本が積まれ、収納されるのを待っている状態の本棚があった。図書館的なものなのか? 本屋になるのか? ともかくあの本が本棚に収まったところをぜひ見たい!

 

www.facebook.com

とにかく、いろいろと魅力的な美術館。なお、常設ではない展覧会は、わたしが行ったときは「生誕60周年記念 くまのパディントン展」。二作目の映画公開後でもあり、パディントンのファンにはいいタイミング。わたしは映画のパディントンは好きだけど、原作の挿絵のパディントンはあまり好きではないので行かなかったけれど(あ、お話は大好きです。とくにブラウン一家とパディントンが生演奏のあるサパークラブ的なところに行って、パディントンがうっかりミニ玉ねぎをナイフでつるっと生演奏バンドのサックスの中にインしちゃう話とか)。

 


映画『パディントン』本予告編