映画『真実 La Vérité』@渋谷humaxシネマ(2019年10月15日)
真実(原題 La Vérité )- 映画特報 第76回ヴェネツィア国際映画祭2019オープニング作品
もう一昨年になってしまいましたが、是枝裕和新作映画『真実 La Vérité』を見ていました。カトリーヌ・ドヌーヴと脚本が怖かった。大女優の業がこれでもかと描かれる脚本が容赦なく、亡くしたライバルにフランソワーズ・ドルレアックを思わざるを得ないし*1、映画内映画の脚本も輪をかけて追い詰めてくるし、それを演じてるドヌーヴの演技が凄まじいし、「もしかしてそこは地ですか?」と震えるところもあり。最後はいい話ふうに和やかな音楽で終わるけど、ひんやりする映画でした。
ある意味、楳図かずおの『洗礼』を母側からの視点で、現実的なよしなしごとがあって小学生の娘みたいにはホラーに純化できないよな展開にしたような怖さ。毒親持ちじゃなければ、「なんだかんだ言っても呆れとともに親の老いを受け入れるしかないのよね」という感想になるのかもしれませんが……。
女優同士の映画内映画のバチバチや演技合戦も、いろいろと怖いです。怖さの一つは、75歳にしていまだにちょこちょことハッとする美しさで圧倒するドヌーヴにもあり。
吹き替え版に興味があったけど、大女優→娘→孫のフランス語血族と、娘→その夫→バイリンガルの孫のアメリカ英語家族の微妙さを、吹き替えではなかなか反映できないだろうなと思うと、見ない方がいいのかなあ。娘役のジュリエット・ビノシュと、声を吹き替えている女優さんの年齢差も気になるし。