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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

一か月のご無沙汰でした

理由はなにかというと、湿気。

わたしはこの時期、湿度が高くなると動きが全般的に鈍くなります。たぶん気圧が低くなるのも関係しているとは思うのですが、湿気になれるのに時間がかかる! 不調のあまりに用事をキャンセルせざるを得なかった日もあります。

というわけで、もともと新型コロナ関連で外出を控えているのもあって、出勤日以外は相変わらずエアコンをかけて湿度を低くした部屋に引きこもっていました。

で、平日の一席おきで人の少ない映画館で映画を見るほかは、おうちで相変わらずバレエ映像を見たり、本を読んだり、ウェブ記事を読んだりしているわけなのでした。

 

◆映画『最高の花婿 アンコール』

youtu.be前作のあとにシャルリエブド事件があったので、まさか第2作を見られるとは思ってなかっただけに嬉しい! 今回も笑ってチクリとさせられハラハラきて、着地点の予想がなかなかつかなかった。

前回もだけど、見ていると「ない」と思っていた自分の差別意識を何度もつつかれて、ハッとさせられる。差別意識をなくすのは難しいけれど、他者と自分の差別意識を織り込み済みとしていかに付き合うか。それは対話による人間関係の深化しかない。

ちなみにこのシリーズの四姉妹の末娘は、フランス版『シティーハンター』の香なのです! ボーイッシュな香のときとはもちろん全然違う演技。

 

◆『ウルフ・ワークス(Woolf Works)』The Royal Ballet

www.youtube.com七月十日まで公開されていた『ウルフ・ワークス』。ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」「オーランドー」「波」の三作品をモチーフにしたバレエ。オーランドーはあまり原作のことは思い出さず、でも振り付けの組み合わせが秀逸でじーっと集中して見ていました。

ダロウェイ夫人は死せる友人との男同士のパ・ド・ドウが特によかった。三つとも音楽と衣装も秀逸。とくに衣装は「その手があったか!」という感じ。

アレッサンドラ・フェリ、サラ・ラム、スティーヴン・マックレ―、高田茜、フェデリコ・ボネッリその他その他、綺羅星のようなロイヤルのダンサーが入れ替わり立ち代わり踊る至福の時間でした。

www.youtube.com

 

◆映画『デッド・ドント・ダイ』

www.youtube.comゾンビ映画よく見る人が見たらより爆笑なのかなー、それにしてもイギー・ポップがゾンビみたいに痩せてるからってゾンビ役かよ(笑)と思いつつ鑑賞。ジム・ジャームッシュ映画なので、米俗語がわかればもっと面白いんだと思う。特に罵倒語。あとゾンビ映画に限らず米映画に詳しいと見る角度がいろいろ違いそう。

longride.jpちなみにティルダ・スウィントン様目当てで見に行ったんですが、大満足でした。日本の不条理ギャグみたいな展開でこちらも笑った。そして相変わらず美しい、というか映画内の時間が進むほどに美しくなっていって、あと役名がティルダ・スウィントンの言い間違いみたいで、ただティルティルの美しさを撮りたい欲望ゾンビじゃん! とニヤニヤしました。

画像に含まれている可能性があるもの:2人、、「ZOMBIE SURVIVAL ITEMS」というテキスト

なお、映画を見た人ならわかるだろうけど、パンフレットのティルティルスティール写真は、映画内のシーンとは違うメイクをわざわざして撮り直したと思われる美しさ。気付いたんですけど、ティルティル今年で還暦……。時間と人類を超越した美しさ!

 

◆Ballett Zürich『くるみ割り人形とねずみの王様』

www.youtube.com素晴らしいけど子ども向きではなかった。要所要所はよく知られているくるみ割り人形なんだけど、サーカスの不気味さやキャバレーのどぎつさに彩られた、相当、Bizarreな作品。改変具合はほとんどマシュー・ボーン的!

原作のホフマンの不気味さを前面に出して来ているせいか、ドロッセルマイヤーはコッペリウスの要素もだいぶ入っていたような。そのおかげでシュヴァンクマイエル的な雰囲気も漂います。衣装も素晴らしくて、カーテンコールを最後まで見てしまったほど。ブルーレイを買ったので、また時間を置いて、何度も見たい作品です。

 

◆食のバリアフリープロジェクト

ちょっと遠くて、半年に一度くらいしか行けないケーキ屋さんが、突然閉店していた、という経験、ありませんか? わたしはあります。

この記事は和栗のモンブランで有名だった八王子は「ア・ポワン」の岡田吉之さんの「倒れてから・その後」。

パティシエが右半身麻痺してしまったら、やっぱりすべてのやる気がなくなるのね。でも、新たなやる気を喚起するのも、やっぱり台所でなにかを作ること。

ぜんぜんお涙頂戴的に書いてはいないのに、あの素晴らしいケーキを作ってくれていた人の人生再起動に、じんわり涙が出てきました。片手で作れる道具は最後の方に、片手で作れるメニューは別のページに載っています。

r-tsushin.com

 

◆役に立たない本とはなにか

「役に立つこと」を求められる凡人が、冒険家の活動を読んでいっとき精神を解放する、というのは十分、「役に立っている」と思うんだけどなあ。そのほか、いまの子どもの道徳教育の歪さなど内容ぎっしりのインタビューです。

bunshun.jp

 

◆『洗礼』楳図かずお

夫の人が岡崎京子、特にマンガ『ヘルタースケルター』が大好きなのに『洗礼』を知らなかったので、「これを読むと『ヘルタースケルター』がもっと面白いよ」と勧めてみました。

が、「怖すぎてなかなか読み進められない」とのこと。怖くて怖くて、一話を二回に分けて読んでいて、ようやく脳交換手術のためにさくらが拘束されるところまで来たそうです。

それにしてもこのマンガ、大人になってから読むと、子どもの頃とはまた違う意味で、たしかに怖い。子どもの頃はまだ社会や大人がよくわかっていなかったので、怖さも表面的に味わって先を急いで読んでいたけれど、大人になってからは「怖っ!」「怖っ!」と思いながら読むので、なかなか時間がかかります……。

洗礼(1) (ビッグコミックススペシャル)
 
洗礼(2) (ビッグコミックススペシャル)
 
洗礼(3) (ビッグコミックススペシャル)
 

 

◆『宝石の国』11巻特装版

写真の説明はありません。

非常に重い……。読み進むほどに絶望が極まっていきます。少しずつ読まないと精神的に胃もたれしそうで、二回ほど休憩を挟んだりして読了。

写真は今回の限定版についたおまけ冊子。これまでも特装版は何回かあって、イラスト集がついて表紙が通常バージョンと異なっていたりしたけど買いませんでした。

でも今回はこの冊子が、「登場人物が作ろうとしていた博物誌的図録」という体裁だったので、どうしても欲しかった! 読むとまた本体との相乗効果で気が重くなりそうではありますが……。

宝石の国(11) (アフタヌーンコミックス)