『こうもり』Roland Petit's La Chauve-souris@新国立劇場
よかった!
バレエで生演奏というと、今まであぶなっかしい演奏に当たる確率が高かったのだけど、この日は、エクセレントではないけど、ヨハン・シュトラウスのウィンナ・ワルツの名曲が主なせいか、あぶなげない演奏。
衣装がどれもこれもすてき。女児たちのエプロンドレス、男児の『サウンド・オブ・ミュージック』の、カーテン服以前っぽい服、マキシムでのフレンチ・カンカンの衣装、ベロアの縞の変身後のベラの衣装。
あぁ、そして、フェリ! ロミ・ジュリのときとはもちろんがらりと大人の女でした。そして、なんといっても、クライマックスで、彼女の正体を妻とは知らない、遊び人の夫と、一夜をともにするシーン!
肌色のレオタードで、まったく隠されていないフェリの、実生活では母である肉体のかたちが、ストーリーにものすごいリアリティをもたらしたのです。
モダン・バレエで、ダンサーの身体性が効果的に使われる、というのは慣れていたけれど、1873年作曲のオペレッタを、バレエとして振付け直したもので、ダンサーの肉体の個性が、こんなふうに使われるとは。
マシュー・ボーン振り付けの『チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」 [DVD]』では、白鳥たちの群舞では、ダンサーたちの体型のまったくの揃わなさを生み出している、彼らのそれぞれの肉体の個性が、動物の群れというものの生々しさを描き出していたことを思い出しました。