読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

わたしが出会ったスゴい誤植

今週のお題「読書の秋」

 

f:id:Mmc:20170930030700j:plain

とあるのですが、わたしがついつい読書中に読んでしまうのがいわゆる誤植、誤字脱字衍字(季節については「秋だけでいいのか、読書」で書いたとおり)。

今日は最近の読書の中で忘れられない誤植その他をご紹介。

亡びゆく言語を話す最後の人々

亡びゆく言語を話す最後の人々

 

カバーを開いて口絵を見ると4枚目、山の斜面と空のような、意味するものがよくわからない写真が目に飛び込んできます。
「インド、アルナーチャル・プラデーシュ州パリジ村で、儀式用の正装をしたソンジュ・ニマソウとアカ族のメンバー」とありますが、写っているのは山の斜面のみ。心が美しくないと見えないのでしょうか?
原書房に問い合わせたところ、営業部の方より次のURLにある画像が正しいとのお返事をいただきました。写っているはずの人物が見えないのは、心の問題ではなく、写真データの縮小率の問題だった模様。
http://www.harashobo.co.jp/teisei/index.htm

しかし、トップページにも書籍紹介ページにもこの訂正ページへのリンクが貼ってないのは不思議です。
http://www.harashobo.co.jp/
http://www.harashobo.co.jp/new/shinkan.cgi?mode=1&isbn=04907-3
http://www.harashobo.co.jp/new/shinkan.cgi?mode=2&isbn=04907-3

他に以下の不思議がありましたが、これらもこちらの推測どおりとのご返答でした。

・36ページ8行目の改行
「と呼ばれる」で改行されているが、9行目は一字落とし始まりになっていない。文脈からすると、必要のない改行なのでは?


・84ページ4行目の衍字
一般的な見方に反して

一般的な見方に反して、


・105ページ後ろから3~2行目の脱字
若者がクリオル語を話したがるために

クレオール語
(本書のほかの部分ではクレオール語の表記)

・198ページ5行目の誤用
きっかり三九六人

「きっかり」という言葉は三百人とか四百人などの区切りのいい数字の枕詞では?

 

 

オオカミ、群れに戻る: オオカミを育て、野生に戻した女性の物語

オオカミ、群れに戻る: オオカミを育て、野生に戻した女性の物語

 

落丁乱丁ばりの校正校閲のされていなさでめちゃくちゃ読みにくいので、内容の正当な評価が難しいほど。最初から付箋を貼り付けていたら、付箋約240枚を使い切ってしまいました。ひどい場合は見開き2ページで4~5か所の不備があるのです。

表記ゆれは当たり前、衍字脱字誤字に、主語と述語がかみ合っていなかったり、主語のない述語が出現したり、数字に関しては半角全角入り乱れ、もうめちゃくちゃ。金返せというか、本業が校閲なので、作業代払えと言いたいレベルです。よくまあこの状態で出版しようと思えたなあ。

なお、写真は変なトリミングで背景の一部しか写ってないなんてこともなく、かわいいです。

f:id:Mmc:20170930021105j:plain

具体的には次の通り(ごくごく一部です)。

 

・9ページ2~3行目

大胆不敵で自由解放に成長させた。

自由奔放

 

・9ページ17~18行目

中国現代青年女性の一人の中で、

中国現代青年女性の中の一人で、

 

・13ページ5~7行目

アメリカは誰よりも早くこのようなオオカミの精神に気づき、その本質は資本主義精神、市場経済精神、企業精神及び民族復興精神に最も繋がりの強いものだ。

ハァ……。こういうの、学校の英語のテストの日本語訳によくありますよね。もちろん点もらえないタイプの解答で。

 

・14ページ6~8行目

「老狼」である私は、本書――『オオカミ、群れに戻る』を、中国全土はもとより、アジアの読者の皆様にも読んでいただきたい。そして『神なるオオカミ』の次に世界で遠吠えする二匹目の「中国狼」になっていただけるように心から願う。

……。「お名前様いただいてもよろしかったでしょうか」的なイライラを感じます。

 

・18ページ10行目

遊牧民のお兄さんが●●(ツァンパ)を一口齧って口で噛み砕きながら

……。ツァンパは大麦の粉で、噛み砕くような硬いものではありません。

 

・27ページ11~12行目

まさか子オオカミは私のことを自分の母親だと思い込んだみたいだ。

どうやら、もしかして、では? 「まさか」の「もしかして」「どうやら」との誤用が全編で頻出しています。

 

・187ページ18行目

その穴から歯くぎまで届く

歯ぐき

 

・202ページ14行目

この足がまだ治ることができるのかわからない。

治すことができるのか

 

・221ページ10~11行目

自分の口と鼻で、ロックしたような南京錠を開けられるなんて

ロックした南京錠のようなもの

 

・272ページ10~11行目

やつは行ったい

いったい

 

・275ページ16行目

キツネと野スリは

同ページ10行目では「キツネと野リス」

 

・281ページ5行目

空にヒマラヤハゲワシや、ハゲワシなど

ヒマラヤハゲワシはハゲワシに含まれるのでは?

 

・285ページ8~9行目

一回目の叫び越えのやまびこと重なって

叫び声

 

・313ページ8行目

裸麦酒ハダカムギシュー)が入った釜

(はだかむぎしゅ)

 

・319ページ13行目

腰にかけているカメラ

下げている:肩にかける、腕にかけるなど明らかな突起があるところにはかけるといいますが、腰は無理では。

 

・371ページ5~6行目

目付きはから一層がっかりしたような

目付きからは

 

 以上、としたいところですが、上記の例はこの本の誤字脱字衍字のごく一部です。

 

 

 
現在進行中の読書では、『SEALDsと東アジア若者デモってなんだ! (イースト新書)』の、「てにをは」レベルの間違いがとにかく多くて、スムーズに読み進めるのが難しいところに辟易しています。新書は通常1~2日で読了するところ、もう5日目。