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アクラム・カーンの『ジゼル』@東劇

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イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)団による、振付家アクラム・カーンによるまったく新しい『ジゼル』の映像版を東銀座の東劇で見てきました。東劇での上映期間は11月30日~12月6日、間をおいて12月14日~21日なのですが、その前半期間に滑り込みで。

音楽のせいかバレエ魂より演劇魂を揺さぶられる映像体験です。オペラ版の『カルメン』に、歌曲「流浪の民」、ネットフリックスの女子刑務所ドラマ『オレンジ・イズ・ニューブラック』、アニメ『まどかマギカ』とかいろんなものを思い出すけど、たしかにこれは今様ジゼルだと思えます。ウィリたちがゾンビっぽくて怖くて、アマゾネスを思わせる強さなのも最高。ウィリたちの女王・ミルタは闘いの女神・ヴァルキューレのようでもあります。

そして、現実世界で、難破した難民船から浜辺に打ち上げられたあの子どもは、アクラム・カーン版のジゼルとアルブレヒトの子だったかもしれない、という妄想に至ったり。

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ビジュアルとしては、権力者側の女性のドレス、特に白くて横に嵩張ってるまどかマギカの魔女みたいな人が気になる! ビーズのヴェールをかぶってる人は少しアルブレヒトと絡むシーンがあってよかった、けどこちらももっと衣裳を見たかった! と思ったらこんな動画が。ありがとう、ENB!

 

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今作では、アルブレヒトの正体が暴かれる場面として、大公がアルブレヒトに音を立ててキスするシーンがあるのですが、なんだかシチリアマフィアとかの「こいつは仲間だ」と内外に示す身振りのようだな〜、と思って見ていました。オリーブ園でのユダからイエスへの接吻も思い出すシーンです。というか、相手の身分を周囲に知らしめる西洋的文脈でのキスシーンは、そもそも聖書のあれに端を発しているのかもしれないけれど。

あのキスの、派手で際立ったジェスチャーじゃないと意味がない、親密さのない、中身のこもっていなさが怖くて、アルブレヒトもそういう世界からの逃避先がジゼルだったのかな、とか。原作と違って権力者側に戻れない怖いラストも、裏切り者は去れ、あるいは、一度転落すると元の位置に戻るのが難しい現代っぽいな、と思いました。

そんなわけでアクラム・カーンの『ジゼル』、最高なので東京は12月14日~21日、札幌、大阪、名古屋では12月20日まで、神戸では12月21日~1月3日に上映されますので、ぜひ行って目撃していただきたいです!

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ところでENB公演といえば、英語ツイートで「結局このイメージ写真と違ってプレシャス・アダムス、白鳥踊ってないじゃん」の意のものを見かけて気になっています。うーん、どうなのだろう。今回の『ジゼル』ではウィリたちの一人を踊っていましたが……。

 

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さて、東劇に行ったので久々に銀座、有楽町界隈を歩いたんですが、クリスマスのイルミネーション、大変です! 有楽町駅前はなぜか葱が林立、銀座数寄屋橋交差点近くではロシア十字的なものが!
銀座のクリスマス、どうなっちゃうの? 有楽町はまさか初音ミクとコラボ?


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