読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2017/18『白鳥の湖』@TOHOシネマズ日本橋

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ロイヤルバレエの『白鳥の湖』改訂版を映画館で。最終日だからか、平日だけどかなり席は埋まっていました。

マリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフの主役二人が安定を超えて光り輝くようなバレエで、衣装や背景、舞台美術を見る余裕があんまりなかったのが残念。第一幕のお嬢さん方の衣装の二種類の縦ストライプは若干、壁紙感あるのがイギリスっぽい。わたしは上半身の前中心や後ろ中心に小さなボタンが並ぶドレスのデザインが好きなのですが、ストライプの片方が前ボタン並びタイプなのもツボ。

そしてオデットとオディール同一人物説を考えさせられる舞台でもありました。舞踏会で王子がもうメロメロなのに、キス(それも手への)や抱擁を執拗に拒絶する黒鳥は、王子から顔を背けた途端「白鳥の時は真顔で結婚を誓ったのに、なにこのデレデレ具合!やっぱり男って信用できない!」と鍵垢でツイートしていそう。

ロットバルトに関しては、先王である王子の父に占領されてしまった国の王が、同じく占領された国の王女を巻き込んで、王子の国を破滅させるのが目的かなーとか、政治的な背景をどうしても考えてしまいます。特に今回は舞踏会で、王子である息子が騙されてがっくりの女王の頭から王冠をむしり取っていたというのもあり。

そして、そうだとすると、ブルメイステル版でいろんな国の踊りで王子を翻弄する舞踏会も、王子の国が蹂躙してきた国や人々の恨みが人の形であらわれたようにも思えてくるのです。

とはいえ今回の改訂版では各国の踊りの人たちは最初からいる純然たる招待客で、ロットバルトの手下ではなかったけど。そしてロシアの踊りがないのは、ここ数年のイギリスーロシア間のキナ臭い事件のせい? などとも考えてしまいます。ポロニウム事件とか……。ちなみにわたしはロットバルトに関しては、王子の家庭教師でBLっぽいバージョンが好き。

なおネタバレ寸前ですが、ラストがちょっとマシュー・ボーン版っぽかった(ほかにもインスパイアされたらしきところはあったけど)。チャイコフスキーの音楽はやはり悲劇が引き立ちますね。

 

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お題「最近見た映画」

上高地でフリー・チベット・ピース・ウォーク

今夜はちょっと涼しい東京。このまま涼しくなってほしい……。

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さて、週末は恒例の涼しい夏の上高地でのフリー・チベット・ピース・ウォークに参加してきました。今回は五人で女子旅♪ 行きはそれぞれホリデー快速やあずさで松本駅へ。もちろん駅弁は欠かせない!

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材料はともかく工場は都内だったよ「山の信州いろどり弁当」
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松本駅から乗って来たスーパーあずさを見る。そしてコンビニからの眺めと涼しさ!

そこから仲間の運転する車で乗鞍方面に移動、途中、「日本一標高の高いバウムクーヘン工場」があるお店に全員、目がハートになり、一回、通り過ぎたのに戻ってみたり。

yumyumtree.jp

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こういうのもいちいちかわいい、と言い合えるのも女子旅のよさ

なおここはバウムクーヘン工場とショップのほかに、カフェとゲストハウスもあり、「今度ここにも泊まってみたいね」という話に。やはり朝はバウムクーヘンの焼ける匂いで目が覚めるのでしょうか。

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絵本のなかにありそうな建物と雰囲気なのです

さて、その日は懇意にしていただいているお宅に泊まり、公営温泉でくつろぎ、豪華で健康的な晩ごはんをいただきました。朝も品数豊富で美味しい朝ごはん。さわやかな空気の中で、出勤前という制約がなく、その他雑事をやらねばと思わせる日常から離れていると、いつもの数倍、食べられるんだとびっくり。

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夕食&朝食

当日はふたたび仲間の運転する車で沢渡へ、そこからタクシー相乗りで上高地バスターミナルへ。飲み水を汲んだり、お昼のお弁当を買ったりして出発です。前日の予報では上高地のお天気は雨だったのですが、ごらんのとおりの好天が終始、続きました。

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「この根っこに守られた洞、ミラレパだったら修行するね!」とかチベット話をしたり、ながら歩いて来て、明神館前でお昼に。

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かなり満腹になるお弁当

まったりしてから川へ向かい、橋でチベット国旗を掲げて写真を撮ります。このピース・ウォークを始めたころは「それはどこの国旗?」と話しかけてくる人もけっこういて、Students for a Free Tibet Japanのパンフレットを配ったこともあった、ということですが、インバウンドも進み、「なんの国旗か知らないけど、そういう人もいるよね」という感じで、前回わたしが参加した時もですが、今回も興味を持つ人はあらわれませんでした。

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なのに、なぜチベット人でもないわたしたちが(前々回、前回はチベット人も参加していましたが)、チベット国旗を掲げて写真を撮るのか? それはチベット人なのに、チベット国旗を掲げる自由のないひとのため、そして「チベットを忘れていないよ」とこの日の写真をネットに流してそうしたひとたちに伝えるためです。

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さて、歩いているとそうでもないのですが、写真を撮ろうと立ち止まっていると、けっこう揺れる橋を渡り、穂高神社へ。わたしはキリスト教徒ですが、あまり一神教的ではないので、地主さんにあいさつする感覚でお寺や神社にお参りします。今回は少し多めのお賽銭をいれ、フリー・チベットなどを祈りました。そして、その後、何気なく社務所を見たら……

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いらすとや、こんなところにまで! 浸透力半端ない……。そこから川に沿って河童橋&バスターミナル方面へ歩いていると、前回はせせらぎが流れていて、笹舟を作って流したりしたところが干上がっていて、異常な数のケルンが。好天ではなく荒天もしくはどよんとした曇り空だったら、賽の河原そのものでした。

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なお、河童橋手前に穂高連峰がよく見えるスポットがあるのですが、いつもならこの季節でも雪が残っている場所に雪がなく、岩が露出していたりします。 

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水不足ヤバいのだろうか、と思ったら、帰りのバスから見たダム湖の水面がだいぶ下がっていて、岸壁の岩が露出していました。

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なお今回は去年開通した高速バス路線の上高地―渋谷線を帰りに利用したのですが、渋滞に巻き込まれて一時間五十分の遅れ。途中の諏訪湖サービスエリアで買って車内で食べた鹿肉ジビエおやき、かぼちゃおやき、安曇野飲むヨーグルト、地元産甘酒がなければ死ぬところでした。

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ところで諏訪湖サービスエリアには「そじ坊」があったのですが、となると小諸方面のサービスエリアにはやはり「小諸そば」があったりするのでしょうか。

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お題「夏休みの思い出」

レッスン覚え書き

・八月一回目

完璧に美しいものばかりが展開するバレエフェスの合間に行ったので、自分のできなさへの絶望がいつもより深め。あとバレエフェスに合わせて土日に休みを取っていて、そこでレッスンに行ったため、レッスン生が多くて落ち着かなかった。あと連日の暑さで脳がやられているのか、どうも体を動かす指令が混線気味。

ところで自分用に幅が広めのバレエシューズを買って初めてのクラスレッスン、あらためて如何にふつうの靴が足、とくに足の裏や指を守ってくれているかわかった。バレエシューズの裏は、手に置き換えると靴底が手のひらから指の付け根までしかなく、バレエシューズ越しに床をしっかり指で押し下げたりホールドしたりする感覚がわかるようになっているのです。雑ですが図解するとこんな感じ。靴底自体もそんなに厚くはない皮一枚のみです。

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・八月二回目

前回に凝りて、間にもう一日、土日に行けるチャンスがあったけど台風の気圧配置の影響でいまいちな体調だったのもあり、映画に行くことにしてパス、平日のクラスに。

今回は難問が出た。先生が動きを野菜に喩え始めたのだ。


「うーん、なんかみんな動きがぬめぬめしてるのよねー。もっとシャキシャキ! はい、もう一度! 新鮮な野菜みたいに!」


……先生、それとても難しいです。それ以外は教えるのが上手い先生で、平日だからかレッスン生の人数少なめでよかった。

それはそうと、今朝は起き抜けに左脛が攣って、またレッスン行けないかと思ったけど、重度ではなかったので行った。けど、攣るってことはそのあたりの筋肉の具合がよくないわけで、今日は膝下の脛とか足首とかがかなり筋肉痛。
あと三か月で3~4キロ落としたとはいえ、筋肉が育ってないのでまだまだ自重に苦労してるのが如実に反映された。
特に今日のジャンプ。先生曰く、
「自分の足のサイズ分、飛び上がれるようにね」
とのことですが、169センチ・61〜62キロを25センチ浮上させるのはこれまた難しい。5センチ浮いてるかどうかってところ。しかも着地の際の自重の衝撃か、足の裏の掌底的なところがしばらく攣ったような打ったような痛さだった。筋肉をつけるのが早いか、痩せるのが早いか。

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筋トレできてないので体脂肪率がなかなか落ちません

と、悩んでいたのにレッスン後、家に帰るまでに二回、カフェに行き、二回ともケーキを食べてしまう。さすがにさいきん加齢のせいか、ケーキを一日に複数回は胃にもたれます……(←問題点はそこか?)

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お題「今日のおやつ」

高校野球と動物園

酷暑のなかで高校野球全国大会が行われることを残酷ショーだと非難する意見を、今年はツイッターでよく見かけた。選手だけでなく応援する人の中にも熱中症が起きているし、よろしくないなと、わたしも思う。

が、酷暑のなかの高校野球を非難する人が、動物園で展示されている動物が、本来棲息する地域とは異なる自然環境で暑さでのびていたり、氷を与えられていたりするのを、非難どころか好ましく取り上げているのを見ると、複雑な気持ちになる。

そもそも動物園はほとんどの動物にとっては拉致されてきた先で、もともとの棲息環境とかけ離れた場所。仲間もいなかったりして、ノイローゼになる動物もいるような場所。しかも、夏だけじゃなく、一年中。それはいいのだろうか。

人間が見たり触れ合ったりするためだけに、野生動物を不自然な状態において不自由を強いるのは申し訳ないと、最近、急に思えてきた。すべて感情がある(と人間から見える)生き物は魂があり、自分の過去の親やきょうだい、師匠や仲間の生まれ変わりかもしれない、というチベット仏教の考え方に身近に接して影響を受けているせいもあるのだろう。

そして、一度そう思ってしまうとなんだかやるせなくて、動物園や珍しい野生動物のいるカフェにはどうも行く気がしないのだ。

 

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お題「これって私だけ?」

あらためての世界バレエフェスAプロ覚え書き

当日は通常よりかなり早起きでクラスレッスン見学会のあとのAプロ鑑賞だったため、記憶が飛んだり曖昧なので、覚えている分だけ。

 

◆エリサ・バデネスとダニエル・カマルゴの「ディアナとアクテオン」。カマルゴの「肉体が衣装です」っぷりがまずすごい。バレエ自体もそれに劣らず迫力!

◇マリア・アイシュヴァルトとアレクサンドル・リアブコの「ソナタ」。一部、記憶にございません。ラフマニノフの調べにのせてなにか美しいものが流れてゆきました。

◆マリア・コチェトコワとダニール・シムキンの「ジゼル」第2幕のパ・ド・ドゥ。コチェトコワのジゼルはとても素晴らしい! のですが、一度ちらっと書きましたが、シムキンがあまりに軽々と踊るので、ミルタの呪いで無理やり踊らされて息も絶え絶え、というようにはとても見えず、「これもうシムキンのバジルは死んでいるのに気づいていないだけなんでは……」と思ってしまいました。

◆オレシア・ノヴィコワとデヴィッド・ホールバーグの「アポロ」。Bプロで別のペアが踊ったのよりこちらのほうがめりはり効いてたような。

◆サラ・ラムとフェデリコ・ボネッリの「コッペリア」。サラ・ラムが可憐すぎです~~~~~!

◆ヤーナ・サレンコの「瀕死の白鳥」。これも一度書きましたが、期待しすぎたかなあ。うーん、やはりロパートキナの「瀕死の白鳥」と比べてしまいます。ロパートキナのそれは、動物の声を聴くシャーマンのようなマジカルさで人と鳥の種別、そして性別をも超えた白鳥と、その生と死を見せてくれましたが、サレンコのそれは「素晴らしいダンサーが踊っている白鳥(雌)」だったので。伊藤悠貴さんという方のチェロ演奏はとてもよかったです。

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◆メリッサ・ハミルトンとロベルト・ボッレの「カラヴァッジオカラヴァッジオの人生のどのあたりを掬い上げたプログラムなのだろうと思ったら、カラヴァッジオの絵画作品をイメージした作品だった模様。ボッレ様の美しい肉体がカラヴァッジオの作品のようです。

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◆レオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェのヌレエフ版「くるみ割り人形」。バレエフェスは気づけばいつもドン・キがトリだけど、これがトリでもいいようなキラキラ感。

◇オレリー・デュポンとダニエル・プロイエットの「・・・アンド・キャロライン」。一部、記憶にございません。

◆マリーヤ・アレクサンドロワとウラディスラフ・ラントラートフの「ファラオの娘」。肉体の存在感が十分に打ち出されている踊りで迫力! 身体がドヤ顔している、といった感じでしょうか。

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◆タマラ・ロホとイサック・エルナンデスの「カルメン」。ロホさまのカルメンカルメンっぽいのですが、ホセ役はかっこよすぎてホセというよりカルメンがホセから心変わりする闘牛士のよう。カルメンのホセといえば、幼馴染の女子が面会に来ても、それより彼女が持ってきたママからの手紙にうっとりっていうマザコンだめ男なのに……。

◆エリザベット・ロスの「ルナ」。エリザベット・ロスは、年を取るのをやめてみたわ、という感じで演目も相俟ってこの世の理から離れているかのようでした。何年も前にシルヴィ・ギエムで同じ演目を見ているはずだけど、まったく違う踊りだった!

◆アンナ・ラウデールとエドウィン・レヴァツォフの「アンナ・カレーニナ」。長いテーブルを軸に人生がバレエで語られる。息子役は東京バレエ団の方だったようです。

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◆アシュレイ・ボーダーとレオニード・サラファーノフの「タランテラ」。音楽と一体になってる感に震えます。

アレッサンドラ・フェリとマルセロ・ゴメスの「アフター・ザ・レイン」。Aプロはこれがとくにすごかった。55歳でこれに挑戦、というより踊りこなしてしまうフェリのすごさ!

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◆シルヴィア・アッツォーニとアレクサンドル・リアブコの「ドン・ジュアン」 。アッツォーニの天使感が圧倒的。

◆アリーナ・コジョカルとヨハン・コボーの「シェエラザードパ・ド・ドゥ」。世界初演ということで練れてないのか、それともコボーが本調子ではないのか……。タイトルから期待したようなエロスが感じられなかったです。

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◆ポリーナ・セミオノワとフリーデマン・フォーゲルの「ヘルマン・シュメルマン」。一部、記憶にございません。フォーゲル、いつスカート穿いたの? セミオノワが古典以外を踊るのを見たのは初めてかも。しかもフォーサイス。けどかなりよかったので、彼女が踊るコンテンポラリーをもっと見たいなあ。

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◆ドロテ・ジルベールマチュー・ガニオの「マノン」第1幕のパ・ド・ドゥ。美男美女による老舗商店の自信作、という感じ。

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◆ミリアム・ウルド=ブラームとマチアス・エイマンの「ドン・キホーテ」。エイマンはこういう元気な男子の役がしっくり来るなあ、と思うわけです。客席もとても盛り上がりました。

世界バレエフェス〈ガラ -Sasaki Gala-〉とファニー・ガラ

Aプロ、Bプロと見てきた三年に一度のバレエフェスも今日で終わり。数日ずつの公演のA・Bプロとは違って一日だけの公演のみのガラは、チケット入手の競争率が高くて、これまで見たことはありませんでした。が、「コンテンポラリーが多い」とか「最後にダンサーによる仮装大会的なお祭り騒ぎがある」と仄聞していて、気にはなっていました。今年はA・Bプロともチケットを買うと、ガラの当選率が上がるキャンペーンをやっていたので申し込んでみたら、当たったので、行ってみました。感想としては、うん、これはチケット争奪戦になる内容ですね……。というわけでその中でも特に心に残ったものをメモ。
 

 

・第一部
◆オレシア・ノヴィコワとデヴィッド・ホールバーグで「白鳥の湖」グラン・アダージオ
カブキグラスというサングラスのようにかけて使うオペラグラスで見ていたのですが、ノヴィコワのオデットは踊りはすべてのラインが美しく、この上なく優雅なのですが、表情が、呪いをかけられた苦悩に口惜しさというか恨みが混じっていそうな迫力。オディールと同一人物設定で、毎回「男なんてやっぱり信用できないっ!」と叫びながらロットバルトに連れ去られてそうな。
しかしノヴィコワのオデットのときに変な鼻歌流れてたのはなんだったのか……。美しすぎるオデットにやられた自分の幻聴かと思ってたのですが、ほぼずっと聞こえていた。
◆ドロテ・ジルベールとマチアス・エイマンで「グラン・パ・クラシック」
素晴らしかった! ドロテ・ジルベールの編み込みの髪型に紅薔薇一輪も素敵だったなあ。なのに東フィルの演奏、最初のパートの管楽器が不安定でしまらないこと……。いつ音を外すかヒヤヒヤ。難しいパートではあるけど、最初のパートだけが不安定だっただけに余計に残念。
・第二部
 ◆サラ・ラムとマルセロ・ゴメスで「ロミオとジュリエット」第1幕のパ・ド・ドゥ
今日のジュリエットはサラ・ラム。そうそう、こういう初恋の高揚で宙に浮き上がっちゃいそうなジュリエットが見たかった! ロミオもジュリエットの高揚に引きずられて浮き足立つような。ゴメスは安定のサポートっぷりでした。
アリシア・アマトリアンとフリーデマン・フォーゲルで「モノ・リサ」
 ガラのなかでもこれが特に凄かった。段ボールからガムテを剥がすような音で構成されたインダストリアルテクノっぽい音で始まり、バレエは超絶技巧の連続! フォーサイスのイン・ザ・ミドルをさらに発展させたような感じで、大好物!
 
・第三部
◆ジル・ロマンの「リーフ(葉)」
 今回、ガラの、それも「佐々木忠次へのオマージュ」のみ出演のジル・ロマン。60近いはずなのに、とてもそうは見えない……。世界初演という貴重な舞台を見ました。
これは悪い意味で心に残りました。生演奏で彼女のボレロ……。彼女のボレロはなんだかテンションが一定じゃなかった。昔は特になにも降りてこないけど、テンションは一定だったけど、うーん。観客の集中力を途切れさせないよう、ダンサーがテンションを一定に、なんならクレッシェンドしていくことで何かが降りてくるような状況を作り出すのがこの演目だと思うのですが。生演奏も難しい曲だけにところどころ外してたし……。
 
・第四部
◆アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー、デヴィッド・ホールバーグで「マルグリットとアルマン」
 コジョカルはかわいらしすぎて高級娼婦って感じがあまりしないのですよね。でも美しいのでよし!
◆ロベルト・ボッレとマチュー・ガニオで「プルースト失われた時を求めて」 "モレルとサン・ルー"
 BL好き垂涎の演目です。それをこの美男二人が!!!!! 鼻血が出なかったのが不思議なくらい。

◆レオニード・サラファーノフ、ダニール・シムキン、ダニエル・カマルゴの「アー・ユー・アズ・ビッグ・アズ・ミー?」
以前、「バレエの王子様」という男性ダンサー多めの公演で見たかなり笑える演目です。三人の技量が高くないと完成しない=笑えるレベルまでにならない、という意味で、凄腕ダンサーばかりが世界中から集まるこのフェスにぴったり。
・第五部
ファニー・ガラで最後は神々の遊びを見ました。帰りに張り出されていた配役表で、「あれはあのダンサーだったのか!」とびっくりしたり。f:id:Mmc:20180822005417j:image
キャンディ・キャンディみたいな髪型のサラファーノフのジゼルと、一見ドン・キのガマーシュのようで、帽子を脱いだら落ち武者ハゲ、しかもハゲ部分にぽよぽよ毛が生えてるという手の混みようのアイシュヴァルトのバジルの掛け合い、巨大なキティちゃん(男)、「あたしを誰だと思ってんのよ!」とばかりに蹴落とし合う三羽の白鳥(全員男)、そしてゴメスがオネエなメイクに筋肉ムキムキで黒鳥のバリエーションをほぼ踊り切ってた! 岡田あ〜みんぽくて最高!

あと、男子二人がセーラームーンで登場したけど、体格差でセーラームーンというよりポプテピピックぽかったです。
なおA・Bプロ同様、今日も四時間耐久コースでその最後がこのファニー・ガラだったので「夏が終わった……。真っ白な灰になったぜ……」な気分に。
そして、客席にロパートキナ様がいらしたとの目撃情報多数。フェリを見て復活する気になってくれないかなあ。いや、ないだろうな、性格的に……。と思っていたら、当日のお写真が。ロパートキナ様、普通の人の体脂肪率に近づいてると思われるフェイスライン。復帰はやはりないな……。
ギエム、そしてロパートキナ様が引退したとき、夫の人が「神は全てを与え、全てを奪うのですね(涙)」と言っていたのを「おおげさw」と思っていたけど、今になってそれを噛み締めています。
 

世界バレエフェスBプロ

今日は世界バレエフェス Bプロへ。昨日が遅番の勤務日だったのでなかなか起きられず、前奏の間に席に滑り込むという迷惑行為を働いてしまった……。鑑賞中は、今日は朝のクラスレッスン見学がなかったのと、2回目の休憩にレストランでサンドウィッチを補給したので、Aプロのときより気絶頻度は少なくてすみました。

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記憶に残ったことをメモしていくと……

◆オレシア・ノヴィコワとデヴィッド・ホールバーグの「眠れる森の美女」。古典作品のなかでこの全幕でのオーロラ姫がいちばんキツい、というのを以前にどこかで読んだときには「白鳥の湖のオデット/オディールのほうが難しくない?」と思ったものでしたが、何度も見ているとオディールの32回転のような大技はないものの、ローズ・アダージョとか総合的に見て、これはたしかに全幕はキツい演目かも。ノヴィコワは破綻なく、ただあまり「おおっ」という印象もなく……。ホールバーグは二回ほど、ん? 今の着地ちょっと揺らいでた? というところがあり、トップバッターのせいかなあ、などと思っていたら、今年の春に肉離れを起こしていたみたい。

デヴィッド・ホールバーグ、またジゼル降板と怪我についてのメッセージ | 花梨か蓮花のブログ

 

◆ヴィエングセイ・ヴァルデスとダニエル・カマルゴの「ムニェコス(人形)」。「おもちゃのチャチャチャ」のように、夜に人形が動き出し、夜明けにまた人形に戻る、というような。バービーっぽい衣装のヴァルデスが「うる星やつら」のラムちゃんがあたるに絡むみたいに兵隊さんのカマルゴにくっついていくんだけど、なかなかうまくいかないのがもどかしい。人形的なぎくしゃく動きとバレエダンサー的な滑らかな動きの対比が面白い。

◆シルヴィア・アッツォーニとアレクサンドル・リアブコの「オルフェウス」は竪琴がバイオリン。イデアとエイドスについて考えさせられます。

◆アリーナ・コジョカルとセザール・コラレスのプティ版「コッペリア」は、コジョカルがかわいすぎて、「なんでコラレスはそんなにつれなくできるの~!」と思ってしまった。でもそのあとのコラレスの回転や跳躍のすごさを見ると、自信満々のツンデレキャラなの? とも思える。

◆タマラ・ロホとイサック・エルナンデスの「HETのための2つの小品」は、衣装とロホの目力がすごい! ツン9割デレ1割くらいのツンデレぶり。Aプロの「カルメン」でもこれくらい翻弄してほしかったなあ。「カルメン」ではエルナンデスがマザコン兵士な役柄に対してカッコよすぎて、むしろカルメンが心変わりする闘牛士っぽかったのもあり。

 

https://twitter.com/IsaacHdezF/status/1028191012160598016◆アシュレイ・ボーダーとレオニード・サラファーノフの「黒鳥のパ・ド・ドゥ」はあまり印象に残らず。というか、なぜサラファーノフはいつも七三分け郵便局員みたいなマジメ髪形なのでしょう……。オディールより凝った衣装なだけに、古典バレエっぽくない髪形がどうしても気になる……。

アリシア・アマトリアンとフリーデマン・フォーゲルの「椿姫」の白のパ・ド・ドゥ。幸福そうなんだけど、アマトリアンがふっと引くような瞬間が、この物語のこの後の不幸を暗示するような。

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◆メリッサ・ハミルトンとロベルト・ボッレの「ロミオとジュリエット」のバルコニー場面。ボッレは当然のごとく素敵でしたけど、……うーん、ジュリエットが薄味。かつて見たアレッサンドラ・フェリ吉田都の同じ場面のような、少女の弾ける初恋具合が、ない。この場面、ロミオは別に初キスとかじゃないはずなんですよ。童貞でもないはずで。なので、どっちかというとジュリエットの初恋の制御できなさを見るものだと思っていたんだけど、違うのかしら。

 

◆ミリアム・ウルド=ブラームとマチアス・エイマンの「ダイヤモンド」。ロパートキナ様の踊ったのが自分の中でクラシックになっていて、つい比べてしまう演目。 前回のバレエフェスだったかと思うのですが(前々回かも……)、凄かったのです。相手役いてもいなくても一緒、くらいの踊りの眩さで。

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今日は男性パートはマチアス・エイマンでしたが、彼は持ち味の可愛らしさがこういう役の時に邪魔になるような。ドン・キのバジルなんかはぴったりだと思うんだけど。

 

◆アリーナ・コジョカルとヨハン・コボーの「マノン」の沼地。コジョカルの瀕死度がちょっと足りないかなあ、とは思ったのですが、最後は涙が……。

◆サラ・ラムとフェデリコ・ボネッリの「アポロ」は、ボネッリが人間くさいというか、ギリシャ神話のエピソードを彷彿とさせる感じでした。ただ、パートナーのサラ・ラムが薄味で……。Aプロの「コッペリア」のサラ・ラムがよかったので期待しすぎたかも。

◆アンナ・ラウデールとエドウィン・レヴァツォフの「椿姫」の黒のパ・ド・ドゥは、培われたテクニックと表現力あってこその演技が自然な感じ。もっとオーバーアクションで憤懣を叩きつけるアルマンもいいけど、これもありかなあ、と。

◆エリサ・バデネスとダニエル・カマルゴの「じゃじゃ馬馴らし」、シェイクスピアを現代的に読み下した感じで、現代でも違和感ない演技、かつとても楽しい。

◆マリーヤ・アレクサンドロワとウラディスラフ・ラントラートフの「ヌレエフ」からのパ・ド・ドゥは、なにか美しいものが通り過ぎていった感。衣装も素敵。

◆マリア・アイシュヴァルトとアレクサンドル・リアブコの「アダージェット」、美しかったです。東フィルもマーラーの演奏がんばってた。

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アレッサンドラ・フェリとマルセロ・ゴメスの「オネーギン」。フェリはAプロに続いてすごかった! タチアナが自分の感情を制御しきれなくて激情からの震えを抑え込んでいるような踊り。最後の慟哭も胸を打つ。このペアだけカーテンコール収まらず、二回でした。

 

◆トリはシムキンとコチェトコワ(発音的には「コチェト(k)ワ」って感じじゃないかと思っているんだけど)の「ドン・キホーテ」。シムキンは片手リフトがものすごく安定していて、膂力を感じました。無重力感とやわらかさは相変わらずです。

 

 

そして前回もタグをつけておいて言及しなかった劇伴ですが、NBS主催の公演では生演奏がダメダメなときに毎回のようにアンケートで文句言ってきたせいか、それともKOSEがスポンサーについたせいか、今回はちゃんとしたピアニストでいろんな演目を見られて満足。東フィルも4時間もの間にテイストの違う曲を次々演奏することを考えたらまあまあ。

ただ英語詩を流すなら字幕か、背景にプロジェクションマッピングとかで日本語版を流してほしい。今日は説明的な内容と発音で大意は聞き取れたけど、Aプロの方は抽象的かつちょっと厨2な内容のささやき気味で、うまく把握できず。パンフレットに載ってないかなあ(暑さでバテていて、まだ全部を読めていません)。

Aプロの演目については先に↓ごく少ししか書けなかったので、また後日、記憶の残っている分だけ書こうと思います。

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帰りは世界バレエフェス写真集と、ちょうどいい大きさのスタジオバッグ(カンボジア製)などを求め、アンケートを書いたりしてから出たら、出待ち列の前にちょうど何人かダンサーが出てきたところだったので、人垣の一番外から見てました。間近で見るダンサーのみなさんの顔の小ささに驚愕! 我々が大ならバレエの先生が中、ダンサーたちは小か極小! あと、ハンサムや超ハンサム、イケメンかどうかにかかわらず、舞台から降りると王子様じゃなくふつうのお兄さん・お兄ちゃんに戻る人と戻らない人の差なども面白い。

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それにしてもダンサーのみなさん、親切! 一番内側のファンと自撮りに収まったり、レッスンバッグにサインしてあげたりをほのぼのと見守りました。夫の人のお目当てのシムキンがなかなか出てこないので、切り上げて帰ってきましたが、すっかり暗くなってから出てきた模様。海外のTV局が来てたので、取材対応してたのかもしれません。

 

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帰りに渋谷駅前交差点のロクシタンの上のカフェに入ったら、先週からピエール・エルメとのコラボ店舗になったとのことで、薔薇の花びらやマカロンが刺さってたりするそれらしいかき氷などを頼む人たちを横目に、ラタトゥイユとティラミス、デザート盛り合わせ。ティラミスが意外にも大きめなのと、コーヒーゼリー入りなのがうれしい驚きでした。

 

お題「お祭り」